BOOK1
□偶然という名の過去
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「!!!」
驚いた。
彼女が作った表情は、そう、物語っている。
弓親が、目にしたのは灰色で身を包んだ、少女。
驚くと同時に、弓親から距離をとる。
身のこなし方からして、実力はあるのだろう。
ただ、実践は始めてなんだろうな、弓親は、そう思った。
「死神とは、ずいぶんと悠長なものなのですね。・・・最初から、私とこうして対峙しようとは?」
「とりあえず、様子見ってやつかな。それに、さっきの状況でも、君になら勝てるけど?」
その言葉が強がりではないことは、彼女も理解しているのだろう。
一瞬、顔をしかめると
「・・・そうですか。あなたの仕事の邪魔をしたことはお詫びします。それと、実践を積ませて頂き、ありがとうございました。」
彼女はそう言って、シュッと、消えた。