BOOK1
□灰色は想う
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同じころ
「おはよう、今日も良い朝だな。」
ムルサの声が室内に響く。
「何が、『良い朝だな。』ですの?会議に10分も遅れたうえに、そんな堂々と入ってこられたら、『良い朝』が台無しですわ。」
「フィラレア様っ!さすがに言い過ぎではご「あら、文句があるの?いえいえ、とんでもない!!」
「何を言ってるんだ、スー。フィラレア様が正しいに決まっているだろう。」
「ちょっと!勝手に喋ってんじゃないわよっ!!全く、うるさいったらありゃしない!」
「お前がな。」
「んだと!このやろー!!」
「だから、ウルセーんだよっ!!」
「…申し訳ございません、ムルサ様。皆、朝は苦手なもので…」
「かまわないよ、李賀。」
ムルサは、次々と飛び交う声を黙らせようと、声を発する。
たった、一声。
「黙れ。」