過去夢@
□隠し味
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『レイジさん、私も手伝います!』
逆巻家の食事は、いつもレイジさんが作ってくれる
この家ではそれが当たり前みたいだけど、レイジさんも私達と同じ学生なのに
それに私はお世話になっている身だし
いつもそれを申し訳なく思っていたから、今日はお手伝いをするって決めたんだ
それに、正直レイジさんが料理する姿を近くで見たかった…っていうのもある
だけど
「結構です」
返されたのは、予想外の冷ややかな言葉だった
『え、どうしてですか?』
「ユイさんが私の料理の手伝いなど、出来るわけがないでしょう。図々しいにも程があります」
レイジさんは私に目もくれず、淡々と料理を続ける
相変わらず口調は丁寧なのに、グサッとくる
(私って、そんなに役立たずだと思われてるのかな?)
『そ、そんなことありません!私だって料理はたまにするし、それに…少しでもレイジさんの役に立ちたいんです!』
だとしたら、ここで名誉挽回して認めてもらいたい
そんな思いから、いつもより強めに反論してしまった
「………」
(でも役に立ちたい≠ニか、ちょっと言い過ぎたかな?)
レイジさんはチラリと私の方を見ると
「そこまで言うなら……そのスープ、最後の味付けをしてください」
コンロの上の大きな鍋を指さして言った
呆れられたかと思ったら、あっさり許可してくれたのは意外だ
『あ、はいっ!!』
・・・・・・・・・・
とりあえず、スープの入った鍋の前へ立ってみたけど
(最後の味付けって、すごい重要な役割じゃない!?)
もっとこう、野菜切るとか、皿洗いとか、そういう雑用っぽいのを想像してたんだけど……
(しかも何このスープ?)
普通のコンソメとかじゃなくて、すごく手が込んでる感じ
(どうやって味付けするんだろう?)
レイジさんの方を見ると、他の料理に忙しそうだし
あれだけできる!≠チて宣言した後で聞きづらい
とにかく自分の勘を信じることにして、私は鍋に向かった
(まずは……塩かな?)
(コクを出すには……ソースとか?)
手当たり次第調味料を入れて
ひとまず味見してみると
『うわっ!塩辛い!!』
(さ、砂糖入れよ……)