過去夢@
□白夜光 08
1ページ/7ページ
シュウさんは部屋に入るなり、私に1枚の写真を渡した
写っていたのは…
カナト君と同じ髪色で、全体の雰囲気はライトに似ていて、瞳はアヤトそっくりな…
キレイな女の人
「そいつ、あいつらの母親。相当な遊び人で、あいつら産んだ後もしょっちゅう他の男の所へ行ってたらしい。死んだ時も確かどこかの男と一緒で……急死だった」
(なるほど……)
あの日教室でライトが言っていた「次々他の男のところへ行くなんて」っていうのは多分この人の事だろう
「……ただ、俺から見ればそいつ、自分の子供達にはかなり愛情持って接してたぞ。ライトは特に可愛がってた。
あいつも小さい頃はしょっちゅう母親に泣きついてたからな。」
『じゃあ…お母さんが亡くなった時、ライトはショックで心を閉ざしてしまった…ということですか?』
「ああ、そういうことだろうな」
ライトがお母さんに甘えたり泣きついてる姿は、正直想像できないけれど
スバル君が言うように「普通の優しい子」だったライトなら、そうなるのも分かる
そして、そのお母さんが自分の知らない所で突然亡くなったら、相当なショックを受けるというのも。
それがまだ小さな子供の時だったら尚更だ
『……でも、どうしてライトだけがそんな状態に?いくらライトがお母さんに懐いていたとはいえ。どうしてアヤトやカナト君は平気なんですか?』
正直、私でもそんなことがあったら正気でいられる自信がない
そういえば、シュウさんとレイジさんのお母さんも確か亡くなってるはずだけれど…
シュウさんは少し黙った後、ゆっくりと語りだした
「……ヴァンパイアは強い。それは腕力や生命力だけじゃなくて、心もだ。あらゆるものが人間とは桁外れに違うんだよ。
ヴァンパイアは生きる為に人を傷つけ、時には殺すことだってある。いちいち誰かの死にショック受けてたら身が持たないだろう?
人間のあんたには理解できないかもしれないけど、普通のヴァンパイアはたとえ目の前で身内が殺されたって、さほど傷ついたりしないんだよ。」
『………。』
そっか、皆見た目は私達と変わらないから気づかなかったけれど、人間とは全く違うんだ
急に逆巻家の皆が、遠い存在に思えた
ここの兄弟たちは性格最悪だと思っていたけど、それはヴァンパイアとしての生まれ持った性質でもあるのかな?