過去夢@

□白夜光 01
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目が覚めたら自室のベッドの上だった

気を失う直前までバスルームでされていた行為

彼の恍惚とした表情と彼特有の甘ったるい香り キバの感触が少しずつ思い出される


(「たまらないよビッチちゃん…ンンッ」)



彼に噛まれた場所も痛むけれど とにかく頭が痛い
貧血のせいか寒さで風邪をひいたのか


もう どちらでもいいか


彼はいつも目が合うたびにしつこく迫ってくる
それは恋愛感情からではなく
ただ私の苦痛に歪んだ顔と血が欲しいらしい


(「とってもキレイだよ…見てくれだけはね」)


舌を絡ませあったあの深い口づけにも 愛情などない


『見てくれだけ……か』


一瞬でも期待した私が馬鹿だった

彼が私を心から愛してくれることなど 
ないのだから

涙がこぼれそうになるのをぐっとこらえ天井を眺めた





そういえば 誰が私を部屋まで運んでくれたのだろう?

彼だったらあのままバスルームに放置していてもおかしくないはず


濡れた体はキレイに拭かれ服もパジャマに替えられている

起き上がる気力もなくぼうっと考えていると ドアが開かれる音がした

(…ライトだ!)

目覚めたことがバレたらまた何かされるに違いない

私は恐怖から再び目を閉じ まだ気を失っているふりをした

コツン コツン…

近づく足音に 心臓の鼓動も早くなる

彼がテーブルに何かを置く音も聞こえ 

私のいるベッドへとさらに近づく

(っ…どうかバレませんように!!)

表情を変えないように目を閉じ続けた
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