過去夢@

□隠し味
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ちらりとレイジさんを見上げてみると



「…な…何を馬鹿正直に言っているんですか!あなたには慎みだとか、プライドというものがないのですか?」


冷静な様に見えて、少し瞳の奥が揺れている気がした


「あなたの様な下劣な人間が、私の傍に居るなんて………!!」


(なんか、余計に怒らせちゃったみたい…)


『ごめんなさい』


「許しません。罰を与えます」


『……え?』



再びレイジさんの顔が近づいたと思ったら



背中に手を回され、首に噛みつかれた


『キャッ!!』


やめて≠ニ訴えようとした瞬間

耳に響いたのは


「――――んんっ!」

いつもより低く、熱を帯びた声と

ブチッ≠ニ血管が切れるような音

鋭いキバが、私の首筋に突き刺さったのだ



『ん……は…ぁ…っ!』



ジュル……ジュ…


傷口がジンジンと痛み

流れる血は冷たく感じる

それを舐めとるレイジさんの舌は、熱い



『な…んで、いきなりこんな、こと……』



「罰と言ったでしょう?……血が付くといけませんから、ボタンを外しますよ」


そういう事をいちいち口に出す所が、何とも彼らしい



けれどボタンを外す手つきはかなり強引で

糸が千切れてしまうんじゃないかと思った


(やっぱりいつものレイジさんと違う……)


そう思うと、恐怖の中に少しの期待が入り混じって


痛みの中に快感がじわじわと湧き上がってきた



「ユイ……」


こんな時だけ呼び捨てにするのって


ずるいと思う



『……んんっ…あ…レイジ…さん……』




・・・・・・・・・・・・・



解放された胸元に、レイジさんが唇を寄せる


チュ……ジュルッ…


『ん…ふ……ぁ……』


流れた血を舐めとられる感触に、ますます快感が押し寄せ


「ジュッ……んっ!…んん…」


『んっ…あっ!んん―――ッ!』


つい大きな声を出してしまった


声は一度出ると、止まらなくて



ジュ…ジュ…



『ん…んぁ……ぁあッ!』


喘ぎ続けていると


『あ……んグッ!』


いきなり口の中に、レイジさんの指が2本入ってきた


『ウッ―――んんっ!』


急な異物感と苦しさに、目に涙が滲んだ


「声を出さないで。他の兄弟達に気づかれます」


耳元で低く囁かれた


『……!!』


耳を澄ませば、すぐそばにアヤト達の賑やかな声が聞こえる


「今、空腹状態の皆に気づかれたら、あなたはどうなるか分かりますね?」


そうだ

すぐそばにはアヤトやライト、皆がいる


『……は…い…』


指を入れられたまま、小さく頷いた


バレるかもしれない≠ニいう恐怖と

皆のすぐ傍でこんな事をしている、という背徳感に

背中がゾクっとした


「これから飢えた兄弟全員に、貪る様に吸われまくるか、今私の吸血に耐えるか、どちらを選ぶんです?」


『………』


抵抗をやめることで、レイジさんに従う意思を示したら


「聡明な判断です」


頭を撫でられた


レイジさんはどこか、この状況を楽しんでいるようにも見えた
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