過去夢@
□隠し味
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そのまま
『……いっ!いひゃ…』
頬をつねられた
「………キスでもされると思いましたか?」
『………』
否定はできない
「覚えておきなさい。私は低俗な人間とは違います。余程の事がない限り、そのような行為はしません」
少しでも期待した私を咎める様に語ると
レイジさんはやっと手を離してくれた
まだ頬がヒリヒリ痛む
『わ……かりました』
「で、どうなんです?何故あなたは今、目をつむっていたのですか?答えなさい」
(な、何でわざわざそんな事聞くの?)
意地悪で聞いているとしか思えない
『……そんな…ことは…』
「私に嘘をつこうとしても無駄です。だいたいあなたはいつも……」
(ひえぇ、またお説教が始まりそう)
もう、これは羞恥心を捨ててひたすら素直に謝り続けるしかない
『…ほ、本当はキス……されるかと思って、ドキっとしちゃいました!すみません、料理も出来ない低俗な人間のクセに……』
「…………。」
もう一度謝ろうと、レイジさんの顔を見上げたら
『…ホントに…すみま…んんっ……』
唇を塞がれた
『んっ…ん――――っ!』
びっくりして顔を離しそうになったら、両手で顔を掴んで阻止された
『ん、んぁ……ハァ…』
「――――っ!ハァ……」
やっと離してくれたレイジさんは、ちょっと息が乱れていて
いつもとは別人みたいだった
『し……しないって、言ったじゃないですか!』
高鳴る心臓の音を誤魔化すため、強めに問いかけた
「余程の事がない限り≠ニ言ったはずです」
『余程の事……?』
「大して料理もできないくせに、手伝おうなんて考えるあなたの思考回路を疑いますね」
(な…なんでそれがキスされる理由になるの?)
話が難しくて私にはよく理解できない所は、いつものレイジさんと同じだ
(やっぱり、ワザと失敗したって思われたのかな…?)
私の気持ちを確かめたかったのかもしれない
『その…失敗したのは、ワザとじゃありません。でも手伝いに来ることで、レイジさんの近くにいたいって思ったのは……本当です』
ちょっと恥ずかしいけど、誤解されたままよりはマシだ
告白って程じゃないけど、とりあえず自分の気持ちを正直に伝えてみた