過去夢@
□隠し味
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「……!これうめーな!!」
食卓でアヤトがスープを一口飲んだ後、こう言った
『あ、アヤト……スープの味の違いとか、分かるの?』
「いや、いつもはわかんねーけどさ……。今日のは何か、いつもと違う気がするぞ!」
『そ…そう…かな?ハハ』
どう言っていいのか分からなくて困惑していたら
ティーカップを持ったレイジさんが冷静に口を開いた
「当たり前です。今日のはユイさんが隠し味を入れたんですから」
『レイジさん……!!』
(それってまさか…あの時入った血?)
だからアヤトにも味の違いが分かるんだ……
その言葉に反応したライトが、興奮気味に話に入ってきた
「隠し味?フフ、ユイちゃんの秘密の味って事だね。一体何を入れたのユイちゃん?」
『べ……別に、その…特別なものは入れて…ないよ?』
「ふ〜ん。ますます気になるなぁ……後でこっそり教えてよ。ユイちゃんの秘密の、淫靡な味♪」
『……!!だから何にもないって!』
ライトには何か見透かされているような気がして、焦った
「ライト、ユイさんはこの後も用があるのですから。また今度にしなさい」
『え?』
(私、この後何か用事あったっけ?)
問い掛けるようにレイジさんの顔をじっと見ると
「ユイさん、この後の皿洗い、手伝ってくれますね?」
レイジさんの刺すような視線に、先程までの秘め事が思い出される
(もしかしたら、またあんな風に無理やり…)
『えっと……』
鋭いキバと熱い舌
口の中に入れられた長い指
荒い息遣い
それらの感覚が鮮明によみがえってきて
服に隠れた首筋が、ジンジンとうずく気がする
いつの間にか私は こんなにも
彼に溺れて、囚われてしまった
だから
『は…い……。手伝わせて…ください』
今日も、明日も、ずっと……
おしまい
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