過去夢@
□白夜光 10
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「オイユイ」
いきなりアヤトが吸血をやめ、立ち上がった
仰向けになる私の上にまたがり
私の顎に手をかけ、無理やり上を向かせられた
「キスさせろ」
やっぱりその顔はライトじゃなくて、アヤトだ
赤い髪と、エメラルド色の瞳が、近づいてくる
(本当に、キスするつもりだ…)
『……ダメッ!!!』
反射的に、顎をつかむアヤトの手をパシッと払い、顔をそむけた
「………。」
アヤトは唖然としている
『……ご、ごめん、なさいアヤト。でも、キス…だけは…』
どんなに痛くされても、どんなに恥ずかしい事をされても
それが誰からであろうと私は耐えられる。
でもキスだけは……
これだけは人間もヴァンパイアも関係なく、愛する者同士だけがする行為だから。
これまでライトとキスする時だけは
ヴァンパイアと人間、餌としての自分から離れて
まるで恋人同士のような気分になれた。
それにあの日、スバル君とはキスしてないって言った時
ライトはすごくホッとしたような顔をしてくれた。
だから、ライト以外とはキスしたくない。
……でも「覚悟」を見せるつもりだったのに、最後に自分の弱さが出てしまった
情けなくてアヤトの顔が見られない