過去夢@
□白夜光 03
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「オイ待て!俺にここまで話させておいて、礼もせずに帰るっていうのか?」
『え、いや…だからあ、ありがとうって』
「言葉なんていらねーんだよ。分かるだろユイ?…さっきから俺を誘うような匂いさせやがって!」
『わっ!ちょ、ちょっと待ってスバルく…!』
スバル君は私の肩を掴むと強引にベッドの上へ押し倒した
「待たねーよ。ユイの血を吸うの久しぶりだな。今日は特別に…お前の好きな脇腹から吸ってやるよ」
スバル君が私のシャツを強引にビリッと引き裂く。そして敏感な脇腹に鋭い痛みが走る
『やめてっ!んんっ…』
一気にキバを突き立てたスバル君はそのまま血をゴクゴクと飲み出す
「ん…ん…はあ。やっぱり美味いなお前。止まんねー。んっ!」
『ふっ…ん。やだ、いた…いよスバル君』
「嫌じゃねーだろ。ココ、気持ちいいんだろ?」
スバル君は右脇腹を吸いながら、左の脇腹をスリスリと撫でている
触れるか触れないかのもどかしい手つきに、体がビクンと反応してしまう
『ハ…ア…んっ!』
必死に抵抗するも、かなわない。
噛みつく力がさらに強くなり、溢れる血の量も増えているのが感じられる
朦朧とする意識の中、遠くでスバル君の声が聞こえた
「ん…なあユイ。お前…何でわざわざ俺の前でライトの話すんだよ…んっ。ムカつく女だな…ハァ。お前、本当はライトの事…」
話を最後まで聞き取れず、意識を失いそうになったところでスバル君は吸血を止めてくれた
彼はライトのように気絶するまで吸血したりはしない
時々「大丈夫か?」と聞きながら、顔を覗いてくれる
その時の顔は捨てられた仔犬のようで、ちょっとおかしくて可愛い
しばらくした後、吸血をやめても私の胸元に顔をうずめているスバル君
その頭を私はそっと撫でた
「ずるいぞユイ…。俺は、いつもお前を…」
『ごめんねスバル君。まだ、分からないんだ』
彼の言おうとしていることは、何となく分かっていた
「分からない」のは自分の気持ちと 私をこんな気持ちにさせるアイツの事
だから、こんな不安定な私にスバル君の気持ちを受け止める資格なんか無い
本当は繊細で、誰より優しいスバル君の温もりを感じつつ 眠りについた
心では彼の話に聞いた「普通の優しいお兄ちゃん」だった頃のライトを思い浮かべながら
つづく
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