第5章 (‘元’含む)魔法少女in地球

□待つ者たち
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一方、第97管理外世界じゃない地球‥‥。

防衛軍病院の一角は張り詰めた雰囲気を漂わせていた。

「‥‥!」
「‥‥!」

医師や看護師が慌ただしく行き交う様を、セーラー服姿の高町雪菜は幼な子を背負いながら無言で見ていた。

…歳の離れた弟をお守りする姉に見えるが、2人の間に血縁はない。

「お母さん忙しそうだし、帰ろっか、護くん‥‥」

雪菜は心持ち肩を落とすと、踵を返して歩き去る。

高町雪菜がここを訪れたのはもう何度目か。
背中にいる新見 護の母親である香が倒れる現場に居合わせたのがそもそもの始まりだったが、母子の境遇や護の父親の事を知ると放っておく事ができなくなり、『護の父親の知人』である事を最大限に活用して香を見舞ったり、護の子守りを買って出ていた。

無論メディカルチェックを受け、複数の高級士官から身元保証を取り付けたのは言うまでもない。

『…日に日に悪くなっているな、レディ』
『うん。早くあの人と会わせてあげたいのに…』

雪菜と会話しているのは、彼女の胸元に下がっている宝玉形のインテリジェントデバイス『ピュア・ハート』。
何の変哲もないネックレスにしか見えないが、雪菜が持つある能力を最大限に発揮するのに不可欠な存在だ。

(…ふむ、だいぶ腹を立てているな)

雪菜は感情をあまり表に出さないが、雪菜の母である桃香のデバイスとしての歳月を加算すると稼動期間は40年余りを数え、雪菜の事も誕生から見続けてきたピュア・ハートにすれば、彼女が何を考えているかなど容易くわかってしまうのだ。

(ここは地球艦隊に頑張ってもらうしかないな)

そして願わくば、香の息があるうちに“彼”との対面を果たしてほしいものだ──。
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