第5章 (‘元’含む)魔法少女in地球

□とある掃討戦
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  ――巡洋艦『鳥海』艦橋――

「敵駆逐艦と輸送艦の爆沈を確認しました」
「とーぜん♪」

観測士の報告に弾んだ声で答えたのは、この艦の艦長であるフランベルク・夏美・シルヴィア中佐。別名“蒼白の砲撃魔”‥‥。

ドイツ系日本人である彼女は、砲術にかけては20年に一度の偉才と言われ、砲雷撃戦、特に砲撃戦指揮においては天才的な冴えを見せている。
統率力も意外にあったため、27歳の若さで巡洋艦の艦長を拝命しているが、現実には砲雷戦指揮以外を副長兼航海長に“丸投げ”している。

「‥‥はあ〜‥‥」

そんな艦長のお気楽ぶりに長嘆息するのは、“裏艦長”こと副長兼航海長のフランベルク・小百合・アリア少佐。
姓と顔立ちが共通しているのは、アリアがシルヴィアの一卵性双生児の妹であるからだ。

姉がアバウトな分しっかりしており、実質的に艦を取り仕切っているのは彼女である。


とはいえ、いざ戦闘が始まると人が変わり、アクロバティックかつアグレッシブな操艦を見せてガミラスのデストロイヤー艦やガトランティスの駆逐艦と文字通りのドッグファイトを演じた事もある。

――肉親が同じ艦に乗り組む事はまずないのだが、フランベルク姉妹の場合、ガミラス戦でたまたま一緒に組ませたところ、非力な突撃駆逐艦でガミラスのデストロイヤー艦1撃沈、クルーザー艦1を落伍させる戦果が挙がったため、ガミラス戦後は同じ艦に乗り組むようになった。

まあ、2人とも独身で互い以外の家族がいない事も軍にとっては好都合だったわけだが――。

「マーカーブイを置いて、この場を離れます。よろしいですね?艦長」
「オッケー♪」

今回は、これまで挑発を繰り返してきたガトランティス残党に、

『あんま調子こいてんじゃねーぞテメーラ』

というメッセージを込めた作戦であるため、事が済んだらさっさと離れなければならない。

とはいえ、後日残骸を調査する必要があるため、マーカーブイを大きな残骸に撃ち込んだ次第。

「あ〜ぁ、せめても一度(波動砲を)撃たせてくんないかなぁ〜‥‥」
「はいはい、さっさと帰りますよ〜」

乗艦の復旧が遅れたためにイスカンダルに行き損ねたと拗ねる姉を宥めすかせるのが、ここ最近の妹の日課だった。
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