第4章:いざイスカンダル!そして‥‥(イスカンダル救援作戦編)その2

□三つ巴E
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――『ヤマト』病室――

「フェイトちゃん、顔色悪いけど、どうしたの」

先程の大きな震動の理由を確認するため、佐渡の元に行ったフェイトはすぐ戻ってきたが、心なしか顔から血の気が引いていたため、不審に思ったなのはが尋ねるが、返事の内容はとんでもないものだった。

「‥‥すぐ近くに敵艦隊の旗艦らしい大型艦が空間転移してきたから、3隻で集中砲火を浴びせて大爆発させた衝撃波だって‥‥」
「え?」

なのはも返す言葉がない。

「佐渡先生は、敵艦は追い詰められたあげく、一か八かで体当たりか移乗白兵戦を試みたんじゃないかって言ってた‥‥」
「白兵戦!?」

亜光速、時には光より速く移動できる艦同士の戦闘だから、正面衝突はあるのだろうが、移乗白兵戦もあるというのか?

なのはは自分の耳を疑ったが、フェイトの返事は予想の斜め上を行くものだった。

「『ヤマト』はガミラス相手に2度経験しているし、ガトランティスの首都星要塞内部に乗り込んでる。
ましてや正面衝突して共倒れになった事例はいくらでもあるんだって‥‥」
「‥‥‥‥(とんでもない世界に足を踏み入れてしまったのかな、管理局は‥‥)」

青ざめるフェイト同様、なのはも戦慄を押さえられなかった。

過日ガトランティスに崩壊させられた『ワクラ』と、自壊したという『テレザート』は同一次元に存在する。

そして、第97管理外世界とは異なる「地球」と、その地球と管理局に攻撃をしかけた「ガトランティス帝国」。そして今『ヤマト』と共闘している「大ガミラス帝国」も同じ次元に存在している。

管理局とは根本から戦闘に対する認識が違う国が同一次元上に存在する世界など、なのはが知り得る管理局の歴史にはない。

確かなのは、管理局は、この次元に存在する惑星〜星間国家群との係わり合い方を誤れば命運すら脅かされること。

そして、管理局の戦力構成はこのような戦闘を想定していないことだ。

魔導師は、たとえバリアジャケットを纏っていても宇宙空間では戦うどころか、生存すら覚束ない。
次元航行艦の用途は次元世界の警備や移動司令部で、艦同士の殴り合いみたいな戦闘など想定していない。

そして何より、管理局自身が、自分達の存立を危うくするような敵の存在を想定していない。

「――のは、なのは!?」
「ふぇ?」

自分の思いに没頭してしまったのか、フェイトに呼ばれて現実に戻る。

「どうしたの、なのは?」
「ご、ごめんね、フェイトちゃん。ボーッとしちゃった」

泡を食った様子の親友に、フェイトは溜息をつく。

「‥‥こっちの世界の様子に驚きっぱなしなのはわかるけど、怪我を治す事が最優先なんだからね?なのは」
「う、うん‥‥」

フェイトには見透かされていたようだ。
確かにそのとおりなのだが、それでも知らないままではいられない。
思い切って口を開いた。

「フェイトちゃん。管理局は、お山の大将になっていたのかな‥‥‥?」
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