第4章:いざイスカンダル!そして‥‥(イスカンダル救援作戦編)その2

□三つ巴D
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   ――『ヤマト』――

3艦から放たれた砲撃は中型艦をまた1隻、無機物と有機物の破片に変えると共に、すぐ後ろにいた旗艦らしき大型艦の装甲を貫徹したらしく、右舷で爆発が発生した。

「敵大型艦に命中弾!」
「いいぞ北野、たたみかけるんだ!」
「はい!」

手数に勝る『水無瀬』は『ヤマト』を盾にしながら敵の小型艦をアウトレンジで撃ち続ける。

小型艦部隊はコルサック艦隊が対処しているが、今相対している中・大型艦に随伴しているフリゲートらしき小型艦は、旗艦を撃たせまいと突撃しようとする。
そういう艦に対しては『水無瀬』の中口径砲が対処する。


――デザリアム分艦隊旗艦――

「おのれ‥‥!」

分艦隊司令のレオーザ大佐は歯軋りを抑えられなかった。

地球の大型艦『ヤマト』『シラネ』からの砲撃は想像以上の破壊力でこちらの巡航艦を次々と葬り去り、この『アーゼン』の装甲をも易々と穿って右舷内部を食い荒らした。

『アーゼン』はいわば大型巡航艦だが、防御力では一回り大きなガトランティスの主力戦列艦(戦艦)をも上回っており、正面はともかく、側面からの砲撃戦で撃ち負けたことはなかった。

しかし、『ヤマト』『シラネ』の砲撃力はガトランティス艦をも上回った。

何という威力だ。これではガロウズが呆気なく斃されたのもわかる。

その時、艦が続けざまの激震に見舞われ、艦橋の照明が一瞬落ちた。

「右舷にまた被弾しました。一部区画で隔壁閉鎖できません!!」
「く‥‥!」

レオーザは悔しげに吐き捨てたが、すぐに表情を改めると幕僚に指示を与えた。

「残存艦に伝えろ。『旗艦を顧みずに任務を遂行せよ』だ!」
「!‥‥はっ!!」

敵は明らかにこちらを狙い撃ちしている。
ならば、我々が敵の攻撃を引き受け、他の艦への攻撃を少しでも逸らした方が良い。

「このまま前進を続ける。砲撃をゆるめるな!」

右舷の破口から火煙を噴きながらも『アーゼン』は砲撃しながら進みつづける。

「‥‥地球の連中も些か手こずっているようですな」「無理もなかろう。我が軍との戦いで多くの兵を失い、再建し始めたところへガトランティスが攻め込んだのだからな。大半は速成兵なんだろうよ。‥‥我々が論じられる立場ではないがな」
「‥‥仰るとおりですな」
生粋のガミラス人は地球軍に対し、未だわだかまりを抱えているが、それは向こうも同じであるし、コルサックらザルツ出身のガミラス将兵は、地球へのわだがまりは薄い上、内心称賛の念を持つ者もいた。
この位しても悪くはなかろう。

「隊列を組み直せ。地球の若造どもに戦闘の何たるかを教えてやるぞ!」

素早く隊列を整えた老いた狼達は、突進する敵小型艦群に、文字通り牙を剥いて襲いかかった。


――『白根』――
コルサック艦隊の機動に、『白根』『水無瀬』『ヤマト』の艦橋に賛嘆の声が漏れる。

「‥‥三沢、コルサック艦隊の機動を漏らさず記録しておけ」
「は‥‥はいっ!」

嶋津冴子はコルサック艦隊の一連の襲撃機動を記録するよう命じた。

不本意ではあるが、新生地球防衛軍の育ての親はガミラス帝国軍だ。
敵だからといって全て否定してしまっては先祖(大日本帝国)達の過ちを繰り返すだけ。

かといって、20世紀末から21世紀前半にかけての我が祖国の政権与党や高級官僚のように、特定の国のルールを世界標準であるかのように唯々諾々と受容し続けるのも不愉快極まりないが――。
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