第4章:いざイスカンダル!そして‥‥(イスカンダル救援作戦編)その2
□三つ巴C
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――『ヤマト』医務室――
『コスモタイガー隊発進準備!繰り返す。コスモタイガー隊発進準備!』
相原通信長の艦内放送が響くなか、フェイト・T・ハラオウンは佐渡と共にいた。
モニターにはイスカンダルが蒼くぼんやりと映っているが、同時に数多くの光点が明滅している。
「あの光が灯る度に、何人か何百人かの命が失われとる‥‥嫌な光景じゃ」
「‥‥皆さんは、もう何年もこういう戦いを迫られていたんですか?」
「好むと好まざるとに関わらずな。
‥‥もう戦争はこりごりなんじゃがのう」
「‥‥‥‥」
長嘆息をついた佐渡に、フェイトも無言で同意する。
一度に多くの人命が失われる戦闘は、現在の管理世界では10年に一度あるかないかの世界レベルの紛争くらいだが、こんな問答無用で呆気ないものではない。
フェイトは既に十分なショックを受けていたが、この世界の人達のやり方を一方的に非難するほど狭量でもなかった。
彼女が一時期定住し、今も実家がある第97管理外世界もまた、核爆弾に代表される質量兵器の宝庫で、地域によっては今も武力紛争が起きているのだから。
しかし、今目の当たりにしているのは、敵を無力化するのではなく、命を奪う戦闘だ。
地上戦や空中戦とも違う宇宙空間での戦闘。
今手を組んでいる地球とガミラスも、つい1年あまり前までは宇宙戦争で敵対し、地球は短期間ではあるがガトランティス帝国とも宇宙戦争を繰り広げてきた。そして――。
(管理世界にもこの宇宙規模の戦争が飛び火するのかな‥‥?)
フェイトはそこでかぶりを強く振る。
(いや、一連の事件の捜査が始まった以上、管理局も無関係とは言えなくなってるんだ‥‥)
ガトランティス軍艦隊による自然世界『ワクラ』崩壊や管理局艦船襲撃は本局の次元航行部隊本部で捜査が始まっている。
捜査の結果、実行犯や容疑者が明らかになれば、その者を捕縛するのは当然だ。
しかし、相手が国家、それも極めて好戦的かつ侵略的な連中だとしたらどうなるのか?
(確か、アンドロメダ座銀河は、天の川銀河よりも星の数が多いという。そんな銀河系全域を侵略し支配する国家を相手どるなんて、今の管理局にできるんだろうか‥‥?)
‥‥相手が悪過ぎる。
ガトランティス帝国軍が血に餓えた獣みたいな集団であることは、自分達が身をもって知っている。
対抗できる武装・装備と戦力を整え、屠るつもりで臨まなければ、間違いなく返り討ちだ。
管理局の武装隊員で、命のやり取りができる者はシグナムやヴィータら極少数派だし、そもそも敵は強力な艦船や機動兵器を駆ってくる。
(魔法によらない武装を質量兵器と呼び、強く規制している今の管理局では対処できない――)
これまでの管理局の方針が大きく誤っていたとは思わないが、ガトランティスや目の前のアンノウンBは一顧だにしないだろうし、地球防衛軍も同じだろう。
それに――。
管理局はこれまで、相手より圧倒的に優位な戦力で臨むことができた。
JS事件とてそうだが、今度ばかりは真逆だ。
コルサックというガミラス軍の老将の言葉が事実なら、管理局とガトランティスの戦力比は絶望的なまでに大きいだろう。
地球防衛軍がガトランティスを退け得たのも、ガトランティスがアンドロメダ座銀河と天の川銀河の距離を技術的に克服できないまま、最小限の戦力で攻め込んだからかも知れない。
ともあれ、ガトランティス帝国や地球防衛軍の事を知っている管理局員は自分だけだ。
この事を伝えるためにも、自分等は何としても生還しなければならない――!
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