第4章:いざイスカンダル!そして‥‥(イスカンダル救援作戦編)その2

□VS イスカンダリウム採掘船団B
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漂流し続けるイスカンダル星との距離を徐々に詰めていく漆黒の艦隊。

13TFとコルサック艦隊が交戦している艦隊と共通の、円盤型の艦体に塔状の艦橋楼、前後側面に大小のバレル式砲塔を有する艦艇群だ。

その中でも一際巨大なシルエットを持つのが旗艦たる『プレアデス』。

その『プレアデス』艦橋の中央に、恰幅のいいスキンヘッドの男が腕組みをして立っている。

彼――艦隊司令官・デーダー――に、幕僚が歩み寄った。

「閣下、偵察艦からの報告です。『イスカンダルに合流したのは、ガミラス帝国総統デスラー直率の艦隊で、中型戦闘艦を中心に少なくとも200隻が重力圏内に存在している模様』
‥‥この直後、ガミラス艦の攻撃で通信を絶ちました」
「ガミラスの総統自ら指揮しているのか。それで、奴らの中に宙母(空母)はいないのか?」
「それらしい艦船が複数存在するのは確実ですが、詳細を把握する前に妨害されたようです」
「‥‥む‥‥」

デーダーは瞑目して考える。

ガミラシウム採掘船団を襲ったのは間違いなく奴らだ。
彼我の数ではこちらが優位だが、ガミラス艦隊をデスラー自ら率いているとなると、事は些か厄介だ。

ガミラスはつい最近、本星を地球という小国に破壊されるまで、大小マゼラン銀河を支配下に置いていた大国と言っていい。
総統のデスラーは一時消息不明だったが、あのガトランティスのズォーダーの客将に収まっていたという。

そのデスラーがまさか舞い戻って来ようとは――。

「よし、艦隊の速度を上げろ。戦闘攻撃機をいつでも出せるようにしておけ。
デスラーの息の根を止めてしまえば、あの女王も諦めるだろう」
「はっ!」

ガミラス軍残党はまだいるだろうが、所詮は本拠地を持たぬ流浪の輩。
それでも統制を維持しているのはデスラーが有能な指導者だからこそだろう。
言い換えれば、そのデスラーさえ討ち取れば、ガミラス艦隊など大した脅威ではない。

我が方が優位な今こそ、一気に勝負をつけてやる。

――その時だった。

「ガロウズ提督より緊急電!」
「何事だ?」

焦った声を上げる通信幕僚を高級参謀が問い質す。

ガロウズの艦隊はイスカンダリウム採掘船団を護衛して、間もなく合流する手筈だ。

「『現在、ガミラス艦隊及び地球の小艦隊と交戦中』との事です!」

だが、参謀が反駁する。

「バカな!ガミラスだけならともかく、地球はガミラスと敵対しているのだぞ!再確認させろ!!」

――過日、破壊したガトランティス艦から回収した各種データの中に、ガミラスと地球に関わるデータもあった。
地球はついにガミラスに屈服せず、俄には信じられなかったが、『ヤマト』なる艦を派遣してガミラス本星を破壊し、イスカンダルで惑星再生装置を受け取る事に成功したという。

そして最新の資料では、ガトランティスが地球に攻め込んだが、予想外の頑強な抵抗に遭って攻めあぐねているという。

あの艦隊には大規模の輸送船団が随伴しており、大量の軍需物資が搭載されていたから、ガトランティスの苦戦は確実と踏んだが、まさかズォーダーが斃されるとは思わなかった。

ゆえに本国は地球を油断ならぬ存在と踏み、デザリアム本星から調査艦隊を差し向けたと仄聞しているが、よりによって、地球が敵対関係にあるガミラスと協力するなど――。

その時、デーダーの禿頭の奥で閃光が煌めいた。

(ガミラスはイスカンダルに攻め込んだ形跡がない。そして地球はイスカンダルに感謝しているという。
両者がイスカンダルを救うという一点で休戦しているのなら‥‥)

いや、それはありえんと思い直したところに続報が入る。

「ガロウズ艦隊からです!間違いなく地球の小艦隊とガミラス艦隊は共同戦線を張っているとの事です!」
――ここは現実を優先しなければならない。

どのような経緯があったかは知らぬが、ガミラスと地球は敵対関係を解消したと判断するしかないだろう。
「後方の敵には構うな。このまま前進してイスカンダルのガミラス艦隊を攻撃!デスラーを捕らえるか確実に葬るのだ!」

地球艦にはハドウホウなる決戦兵器があり、威力は我が軍の無限α・β砲をも凌ぐらしいが、まさか大恩あるイスカンダルに向けて撃つことはできまい――。
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