第3章:いざイスカンダル!そして‥‥(イスカンダル救援作戦編)

□慌ただしき出撃@
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――地球・新横須賀市立第2中学――

『1年2組の高町さん、職員室に来て下さい』
「‥‥‥?」

2時限目終了のチャイムが鳴り終わるや否や、高町雪菜に職員室から呼び出しがかかる。

「ごめん、行ってくるね」
「いいよ〜」

クラスメイトに手を振って教室を後にした。

(何だろうね?)
(恐らくはカピタン関連だろうな。昨夜から軍が急に慌ただしくなっている)
(‥‥そうなんだ)

携帯端末のストラップに貼り付いた“ピュア・ハート”と念話を交わしつつ、 雪菜は階段を降りる。

(白色彗星軍の残党が動き出したんだろうか‥‥?)

白色彗星帝国の専制君主・ズォーダーが斃れてからひと月余り。
白色彗星帝国軍は大半が太陽系から退去したというが、退去を潔しとせず、太陽系内に潜伏して復讐戦を企てている残党もいるだろう。

大規模な掃討作戦があるのだろうか?

「高町雪菜、出頭しました」
「いや、別に出頭命令は出してないから。勘違いしなさんなよ?高町さん」

踵を揃えて来意を告げる雪菜に、担任の坂田銀士が辟易した声を上げた。

「そうでしたか。残念です‥‥」
「いや、口調が全然残念がってねーよ。てか、何が残念?」
「先生の目が残念です」
「いーんだよ、いざと言う時は煌めくんだから」

担任教師と生徒のこんにゃく問答に、周囲の教師達も呆れた表情をしている。

「それは置いといて、だ‥‥軍から連絡があった。お前さんの保護者絡みでな」
「‥‥酔っぱらってセクハラVIPの額に肉と落書きした程度じゃ驚きませんよ」
「いや、そんなんじゃないって。‥‥てか、んな事したんかい!?あいつは」
「‥‥あの人の気性は、銀士先生もよくご存じでしょう?」
「‥‥まあな」

坂田が引きつった笑みを浮かべる。

雪菜の担任である坂田銀士は、雪菜の亡き長姉である高町若菜や嶋津冴子と小・中学校の同級生であり、少女期の冴子をよく知る極少数の存命者の1人だ。

「‥‥軍からの連絡では、緊急かつ重要な任務を受け、長期間の派遣任務についたそうだ。詳しくは帰りに軍の基地で尋ねるといい」
「わかりました。ありがとうございます」

ペコリと一礼して雪菜は職員室を後にした。

「‥‥それにしても、あのロケット女(冴子)が30前で大佐。それも1隊を率いる身とはねえ‥‥」

死んだ鯖のような目の教師・坂田銀士はしみじみと述懐した。

――高町雪菜が、保護者率いる13TFがイスカンダルに向かったと知らされたのはその日の夕方、連邦大統領の緊急会見の直前のことだった――。
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