第5章 (‘元’含む)魔法少女in地球

□太陽系へ@
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ーー????ーー

床に将兵の遺体がいくつも転がり、抵抗を図る者も即座に物言わぬ骸と化して倒れ伏す。

「貴様ら、何の真似だ!?」
「反乱だよ、艦長殿」
「おのれ──」

浅黒い肌をした壮年の男の銃が火を吹き、対峙していた高級士官は額に風穴を穿たれて、怒りの表情のままドウと倒れた。

「機関室ガス注入完了。全員絶命」
「よし、排気と掌握急げ」

艦長を射殺した壮年の男は表情を変えず、若年の同志に指示を下す。

「乗組員諸君、本艦は我が〇〇〇〇〇を中心とする武装蜂起団によって掌握された。従わない者は武装解除して指示に従え。もう一度だけ言う──」

メンバーが艦内一斉放送を流すのを聞きながら、男は思案顔になる。

艦長や多くの乗組員を殺した以上、我々は反乱兵だ。
逃亡するしかない。

しかし我々にはもう帰るべき国はない。こいつらによって奪い尽くされた挙げ句絶滅させられた。

だが、まだ死ぬつもりはない──。

「打電しろ。“本艦は機関故障につき落伍、構わず前進されたし”とな」
「了解!」


──“決戦”は意外なほど呆気なく終わった。

土星の衛星フェーべ宙域で激突した地球×ガトランティス残党両艦隊は数こそ同等だったが、ガトランティス艦隊は補給がままならないのに加え、指揮官相互間の深刻な内部対立やアンドロメダ銀河に帰りたがった将兵や被征服国出身の兵士による反乱が発生し、戦闘や操艦に齟齬をきたして撃沈される艦が相次いだ。
中には反乱兵が指揮権を奪取して戦線離脱する艦も出た。

そこに地球艦隊旗艦『アンドロメダ』が突出して拡散波動砲を放った事が決定打となり、ガトランティス艦隊は旗艦を含む大多数の艦を失った。

残った艦も逃亡した一部の艦以外は降伏を拒んで撃沈されたり自沈したが、数隻が投降し接収された。

投降艦中最大だったのは大型戦艦『ヂオン』で、ガトランティスに征服された諸国の元軍人が武装蜂起し制圧していた。
リーダーは『旧トガーガ国宇宙軍上佐・ゼーダ』と名乗る初老の男だった。

彼は地球側の訊問に、

『我がトガーガは奴らに搾取された末に滅ぼされた。奴らの尖兵を続ける義務はない』
『地球が降伏していれば、間違いなく我がトガーガと同じ末路を辿っただろう』

と語った。
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