第5章 (‘元’含む)魔法少女in地球

□待つ者たち
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13TFが天の川銀河に入った頃──。

── ミッドチルダ首都クラナガン、聖ヒルデ魔法学院初等部 ──

「今日からまた一緒に勉強することになりました。心配させてごめんなさい!」
“パチパチパチ…!”

高町ヴィヴィオとコロナ・ティミルは頭を下げ、級友たちは拍手で二人を迎える。

『‥‥‥』

教室の外でその様子を見たティミル夫妻、ヴィヴィオの保護者代理で同行した八神はやてと聖王教会のシャッハ・ヌエラはほっとした表情になった。

‥‥『クラウディア』で管理局本局に帰還した高町なのは達は、メディカルチェックを受けた後、ミッドチルダに戻ったが、マスコミの取材攻勢を受ける懸念があったため、なのはとヴィヴィオは療養やカウンセリングを兼ねて聖王教会本部に移った。

コロナは両親の元に戻ったが、問題は最年少のセルボ・アプリリアだった。
本局で調査してみると、彼女の魔法資質は古代ベルカで、5歳にして既にかなりの魔力量とレアスキルを持つ事が判明した。

古代ベルカの縁者となれば聖王教会が放置するわけもなく、カリム・グラシア自らが本局に出向いてセルボの身柄を引き取ったのだが、さらに話はややこしくなった。

というのも、両親と思われていた夫妻はセルボとの血縁がなく、セルボ自身が『ヤマト』に保護されていた時から

「あんな人たち、死んでくれて本当に良かった」

と嫌悪を露にしていたため、管理局としても『親族』にセルボを引き渡すわけにはいかなかったのだ。

八神はやてが調査したところ、死亡した保護者夫妻は違法研究や脱税等、『叩いた分だけホコリが立つ』状態だったため、聖王教会は『人道上やむを得ず』セルボを保護下に置き、養育することにした次第だ。

「ヴィヴィオ達の心理的外傷が予想より軽かったのは不幸中の幸いでしたね」
「そやね。『ヤマト』に感謝せんといかんな」

あれだけの惨事に遭いながらも、ヴィヴィオら子供達のPTSD(心理的外傷)は予想よりだいぶ軽かった。

「フェイトさんが折に触れてヒーリング魔法を施していたからでしょうが、地球防衛軍、ひいてはあちらの地球における心療レベルが高度だったせいでもありますね」
「うん…なのはちゃん達やクライド艦長を助けてくれた恩義もやけど、地球連邦は絶対敵に回したらあかん相手や」

ガミラスとの戦争で『向こうの』地球は総人口の大半が死滅したという。
生き残った者達も少なからず心の傷を負っていよう。

それでも復興を成し遂げ、押しかけてきたガトランティスを退けてみせたのだ。
どれほどの思いで闘ってきたのか、俄には計りかねるが、敵に回せば恐るべき存在であろうことは確かだ。スカリエッティなど小物に過ぎない。

(フェイトちゃん、ティアナ、地球連邦と地球防衛軍を見極めてな‥‥)
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