第5章 (‘元’含む)魔法少女in地球
□地球に行こうB
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――『ヤマト』――
「‥‥‥‥」
ティアナ・ランスターは左舷展望室でコーヒータンブラーを手に、無数の星に彩られた宇宙空間に見入っていた。
(何度見ても圧倒されるわね‥‥)
無論、ティアナが外宇宙に出たのは初めてだ。
管理局の艦も宇宙空間に出られるが、基本的に惑星近辺の空間が多く、長距離移動は次元空間内であるため、外宇宙に出る事は基本的にない。
ましてや通常空間のまま恒星系間を移動する事など、管理世界の概念ではあり得ない事だ。
(クロスミラージュ、記録してる?)
(ぬかりありません、マイマスター)
ティアナのデバイス『クロスミラージュ』はカメラ機能も有しているが、執務官志望のティアナのために、人間の眼並みの解像度を持っていた。
(ホントに、ここはなのはさんやはやてさんの時代から200年後の世界なのかしら‥‥)
部隊長の嶋津冴子と話す機会があった時、彼女の出身地が“海鳴市”である事を知り、ひょっとしたら、なのは達の出身地である第97管理外世界と、今いるこの世界の地球は同一の存在ではないのか?という疑問が芽生えた。
それをフェイトに明かすと、彼女も同じ疑問を持っていたという。
しかし、同時に、この疑問をここの乗組員に尋ねてはならないと念押しされた。
「下手をすると歴史干渉になりかねないし、なのはとはやての顔を見られなくなるかも知れないからね」
――たとえこの地球が第97管理外世界と異なる存在だとしても、21世紀初めから23世紀初めまでの間に大きな災害や戦争があったかも知れないし、もし同一の存在だったら、管理局の強硬派が黙っていないかも知れない。
(世の中には知らない方がいい事もあるという事ね…)
少し複雑な思いもあるが、それがベターな選択肢なのだろう。
ティアナが自らを納得させた時だ。
「──外宇宙に出たのは初めてかい?」
「!?」
背後から男の声がかかった。