第4章:いざイスカンダル!そして‥‥(イスカンダル救援作戦編)その2
□王が決める事A
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シャトルを確認したコスモタイガー隊は翼を翻し、シャトルの周囲を護る。
ガミラスファイターはさらにその外側についた。
コスモタイガーの指揮を執る山本が呼び掛けた。
「こちら宇宙戦艦『ヤマト』飛行隊長の山本です。古代艦長、聞こえますか?」
古代守が率いていた駆逐艦『ゆきかぜ』は2199年末に除籍され、乗組員は全員が2階級特進した。
2200年、イスカンダルで生存が確認され、かつ残留した守については人事をやり直し、中佐への昇進と予備役編入で処理されていたが、山本は『ゆきかぜ』を率いて奮闘した守への敬意を込め、敢えて古代艦長と呼びかけたのだ。
ひと呼吸おいて返答が来た。
『こちら古代守。娘のサーシャと共にイスカンダルを脱出した。『ヤマト』への着艦と受け入れを希望したい』
「こちらもそのつもりで参りました。私が誘導します」
『ありがとう‥‥』
守と山本のやりとりは13TF各艦のブリッジと『ドメル』でもモニターされていたが、各艦のクルーは“え?”という表情に変わった。
守によれば、シャトルに乗っているのは彼自身と一人娘のサーシャ。
もう1人乗っているべき者の名前がない――。
すぐに地球側指揮官の嶋津冴子が、妙に抑えた口調で反応した。
『――スターシャは次の船で来るのか?古代』
『‥‥‥‥』
――古代 守の返事が来るまでの時間について、後年まで生存した当事者達は異口同音に
『1秒が10倍以上長く思えた』
と回想している――。
そして、守が口を開く。
絞り出すように、しかし明確に。
『――スターシャは乗っていない。イスカンダルからの船はこれが最後だ」
『!!?』
『な‥‥!?』
「!!」
山本は絶句した。坂本や椎名も息を呑んだようである。
そして、ややあって守は言う。
『お前たち、直ぐに全速力で離脱しろ。‥‥スターシャはイスカンダル共々消えるつもりだ』
『そんな、兄さん!』
弟が叫ぶ声が聞こえる。
『うろたえるな進!必要な指示を出さんか!!』
兄は即座に弟を叱咤する。
山本も即断した。
「坂本・椎名、お前達は反転して全速力で離脱しろ。俺はシャトルが『ヤマト』に着艦したのを確認してから離脱する!反問は認めん!!」
『了解!』
『‥‥わかりました!』
坂本達は翼を返して離脱していく。山本は愛機をシャトルの後ろにつけた。
『山本だったな。お前も離脱しろ』
「そちらが『ヤマト』に到着するのを見届けたら、私もヒナ鳥どもを追いかけますよ」
『‥‥わかった』
そのやりとりを最後に通信は切れた。
『ヤマト』の艦底発着口が間近に迫り、着艦誘導レーザーが発射される。
シャトルが『ヤマト』艦内に消えるとともにハッチが閉じられる。
それを見届けた山本機も翼を翻して急上昇した。
ガミラスファイターも翼を翻して母艦に向かい、『ヤマト』『白根』『水無瀬』も艦首を持ち上げた――。
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