第4章:いざイスカンダル!そして‥‥(イスカンダル救援作戦編)その2

□王が決める事@
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 ――イスカンダル王宮――

「‥‥‥‥」

スターシャはスクリーン越しに4人の人物と相対する。

左の2人はとうに顔馴染み。1人は良くも悪くも永年の隣人。
もう1人は義理の弟にあたる青年。

右側の2人は初対面。
1人は夫の長年の友人で戦友。もう1人は招かれざる闖入者。

「繰り返します。イスカンダリウムは差し上げますので、暗黒星団帝国軍・ガミラス帝国軍・地球防衛軍は直ちに戦闘を中止して下さい!」

『英断に感謝する』
『スターシャ‥‥』

メルダースは満足げに頷き、デスラーは何か言いたげだったが、スターシャの決断を尊重したのか、異議はさし挟まなかった。

そして、地球側は――。

「ご決断を尊重します。こちらの準備は整っていますので、一刻も早いお越しを‥‥」

嶋津冴子はスターシャに告げて敬礼した後、回線を『ヤマト』に切り換える。

「‥‥任せていいか?真田」
『元よりそのつもりだ。任せておけ』

『ヤマト』もスタンバイはできているようだ。

「偵察機と戦闘機隊は引き続き警戒!スターシャ達を収容するまで気を抜くなよ」
『了解!!』

通信を終え、着席した冴子だが、胸の奥には不安感が広がっていた。

スクリーン越しとはいえ、スターシャの目から、先ほどまでの躊躇がなくなっていたのが気になっていたのだ。

(‥‥‥‥)

ガミラスとも対等の立場を貫いてきたイスカンダルが、いくら生命の危機があるとはいえ、宇宙戦争に手を貸しかねないイスカンダリウム譲渡に無条件で応じるのか?

が、今は受け入れが最優先だ。
冴子は掌を拳で軽く叩いた。

「これが済んだら、歓迎会の企画を考えよう」
「ええ!」

明るく言う冴子に、ブリッジクルーも唱和した。

そして、

「マザータウンから小型機が発進しました!」

スクリーンでも、王宮の一角から小型シャトルらしき機体が打ち上げられたことが確認された。

「コスモタイガーと偵察機はシャトルの護衛と誘導にあたれ!各艦は周辺環視を厳にしろ!」


――『ゴルバ』司令室――

「『ゴルバ』降下!採掘船団も続け!」

メルダースは『ゴルバ』と、追い付いてきたイスカンダリウム採掘船団の残存船にイスカンダルへの降下を命じた。

「司令官、王宮から発進したシャトルはいかがしますか?」
「捨てておけ」

幕僚がスターシャらが乗ったであろうシャトルへの攻撃の有無を確認するが、メルダースはもはや興味を失ったかのように手を振って否定した。

しかし、メルダースは内心で胸を撫で下ろしていた。
ガミラス艦隊旗艦が放ったのは紛れもない超高タキオンカノン。
デーダーも『ヤマト』のタキオンカノンで葬られたらしい。

(まさか地球・ガミラスともにタキオンエネルギー兵器を実用化させていたとは‥‥)

彼らの国で広く使われている金属にはタキオンエネルギーに過剰反応するものがあり、それは艦艇や『ゴルバ』とて例外ではない。

そのため、中型以上の艦や自動制圧惑星には超重力などのエネルギーシールドを用いており、先ほどのガミラス艦からの砲撃も跳ね返したが、件のガミラス艦からの砲撃は予想以上に強力で、『ゴルバ』は外観からはわからないものの、格納式の砲門やミサイルランチャー等に少なからぬダメージを受けていた。

敵方には少なくとも3隻のタキオンカノン(波動砲/デスラー砲)搭載艦がおり、再び発射されたら『ゴルバ』とて持ちこたえられるかわからないのだ。

ゆえに、スターシャの決断はメルダースにとっても歓迎すべきものだった。
しかし‥‥。

(何なのだ、この違和感は‥‥)

何かがおかしい。漠然とした不安が残っているのだ――。
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