第4章:いざイスカンダル!そして‥‥(イスカンダル救援作戦編)その2

□布石
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  ――某宇宙空間――

「‥‥‥‥」

『クラウディア』以下4隻のXV級次元航行艦を率いるクロノ・ハラオウンは、スクリーンに映る『ルシタニック』のサルベージ作業を見詰めていた。
クロノの傍らには執務官補のシャリオ・フィニーノとティアナ・ランスターがいる。


――時空管理局本局は、船骸と化した『ルシタニック』と撃破されたガトランティス帝国軍艦船の残骸等の回収を決め、次元サルベージ船3隻と『クラウディア』ら4隻の次元航行艦を派遣したのだ。

シャリオとティアナは、補佐すべき執務官(フェイト)が職務を遂行できない状態であるため、陸士108隊に派遣されていたが、事件の関係者である彼女らは、今回のサルベージ任務に際して同行を命じられたのだ。

「改めて見ると、あれだけ破壊された中で、よくなのはさん達は生き延びられましたね‥‥」
「紙一重だったんだろうな。あれだけの規模の破壊では、オーバーSランク魔導師の障壁でも数分と保たないだろう。ましてや直撃なら‥‥」

シャリオの呟きにクロノが応じた。

かつての乗艦『アースラ』をも上回る巨体が原型を留めぬまでに焼け爛れ、無数の破口を穿たれている。

変わり果てた『ルシタニック』の船内には、まだ50名以上の遺体が閉じ込められているという。
通常空間での長時間作業は余りに危険であるため、本局ドックに曳航して遺体の捜索と収容を行い、並行して破壊状況を調べる。
そして‥‥。

クロノは視線を別画面に移した。
そこにはガトランティス帝国軍の戦闘艦“だった物”の欠片を回収しているサルベージ隊の作業艇が映っている。

「どこまで解明できるんでしょうか‥‥」

ティアナが独り言のように言う。
先日収容したガトランティス艦乗組員らしき遺体を検視・解剖した結果、肌や髪の色以外は自分達と同じ“人間”であることがわかり、驚愕させられた。

「あの残骸から、どれだけの情報が得られるか、だな‥‥」

フェイトからの情報では、ガトランティス帝国は極めて好戦的かつ侵略的だという。

これまで侵略してきた惑星や国家等の情報もあるだろう。
無論、地球連邦のそれも。そして、『ルシタニック』や僚艦を地獄に追いやった武装がどのようなものかもわかるかも知れない。

しかし、何より一番知りたいのは『本物の』宇宙戦闘艦の構造と推進機関だ。
管理局の艦船を大きく凌駕している航行能力。
これらを解明しないことには新たな脅威に対応できないのだから。
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