第3章:いざイスカンダル!そして‥‥(イスカンダル救援作戦編)

□慌ただしき出撃@
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火星第2基地での補給と整備は最優先で行われた。

予定では往復と現地滞在で1ヶ月半だが、非常事態であるため、生活物資は『水無瀬』に合わせて4ヶ月半分が用意された。
しかし、積み込むための人手は基地人員だけでは到底足りず、13TF側の乗組員たちも駆り出されることになった。

また、ワープ回数が増えるため、レーダーやアンテナ、センサー等の突起物を補強が加えられることになり、真田の指揮で進められる。

冴子は部隊責任者という立場上、基地や地球の司令部との折衝と調整を担当していたが、そこから窺えたのは、ガミラス軍との共闘に対しての抵抗が強い事だった。

イスカンダルが危機にある事はまだ公表されておらず、政府や軍内部には厳重な箝口令が敷かれているが、議員や軍人の中には、ついでにデスラーも討ち取れと叫ぶ者がいるという。

近い内に政府と軍から連邦市民向けに公式発表が行われるとの事だが、同様の声はもっと強くなるだろう。
そちらの事は藤堂長官に任せるしかない。

折衝の最中、藤堂長官から通信が入った。

『通信はこちらでも受け取った。君達を派遣する旨は大統領のご承諾をいただいている』
「ありがとうございます。こちらは、今のところ予定どおりに進んでおります。
ところで、乗組員の家族へは‥‥?」
『ご家族には軍務局から順次連絡をとっているが、当の乗組員達の様子はどうだ?』

軍本部は、新卒乗組員の訓練途中であることを懸念しているようだ。
これは無理もない。特に『ヤマト』は白色彗星帝国戦で8割以上の乗組員を失い、補充要員の大半が全くの新人なのだ。

「それについては、心身が著しく不調な者については下艦命令を、不安な者については抜錨1時間前までに自発的に下艦を申し出るよう申し伝えてありますが、今のところ該当する者はおりません」
『よろしい。しかし、少しでも早く準備を済ませてくれ』
「わかりました」

通信を切った冴子は、艦長席でしばし考え込む。

(問題は盗掘者一味がどれくらいの規模か、だな‥‥)

マグマを直接採取し、護衛の艦艇も保有していたくらいだ。地球人の常識ならば国家レベルのバックがいると考えるのが常識だ。
そしてイスカンダルとガミラスは双子のような星。地殻やマントル〜内核の組成物質に大差はなかろう。

ガミラスからの盗掘に失敗した以上、イスカンダルのマグマを採掘しようと考えるのが当然ではないか?

(盗掘者連中がイスカンダル追跡を諦めてくれればいいが、希望的観測をしてうまく行った試しはないからな‥‥)

盗掘者のバックに国家がついているとなれば、迂闊に戦端を開くことはまたも地球を危機に追い込みかねない。
それだけは絶対に避けたいが、古代とスターシャの身に危険が迫れば、そうも言ってはいられないだろう――。
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