第3章:いざイスカンダル!そして‥‥(イスカンダル救援作戦編)

□蒲公英(タンポポ)の種
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  ――地球防衛軍・新横須賀基地――

『白根』艦長・嶋津冴子は、基地で落ち合った『ヤマト』艦長代理の古代と昼食を共にしながら、今後の予定をすり合わせていた。

「‥‥入院組は予定どおり出られるのか?」
「ええ。5日後に揃って退院です」

やや置いて、気掛かりなことを尋ねてみる。

「‥‥島は?」
「完全にふっ切れたわけではないようですが、心配いらないと‥‥」
「‥‥そうかい」

島も、あの戦いでは色々なものを背負ってしまったようだ。

「『白根』の方はどうなんですか?」
「入院組は明後日までに全員復帰できる。フネの方は、『大雪』用のパーツやモジュールを流用しているから問題ないさ。
‥‥もっとも、『大雪』の竣工は来年半ば頃になっちまうがね」
「‥‥嶋津さん自身はどうなんです?」
「ツラ(顔)の傷消しのためだけに何度も通院するわけにはいかんさ。
‥‥ま、嫁入り先もないしな(笑)」
「‥‥‥‥」

複雑な表情になる古代だが、冴子はもうひとつ気掛かりな事を訊く。

「私は構わないがな。お前たちはどうなんだ?年貢の納め時だと思うがな‥‥?」

冴子とすれば、こちらの方が気になる。
古代と雪は、婚約してとうに半年を過ぎた。
白色彗星の事がなければ、今頃はダダ甘な新婚生活を送っていただろうに。

9月に予定されていた式は無期限延期になっているのだ。

「‥‥俺たちは、会おうと思えばいつでも会えますから」
「そりゃあ、そうだがよ‥‥」

納得したとは言えない表情の冴子は、あることを思い出した。

「――そういや、兄貴(守)とカミさんは、これからどうするんだろうな?」
「兄と、スターシャさんですか?」
「そうさ。他のイスカンダル人は皆死に絶えてしまった。
お前の甥なり姪なりが生まれていても、その子は、このままではいずれ独りぼっちになる。

――それに、イスカンダルが地球みたいな目に遭わないとも断言できまい?
良くも悪くも、睨みをきかせていたガミラス帝国はもうないんだ」
「‥‥確かにそうですが、スターシャさんがイスカンダルを離れるとは到底思えません‥‥」

古代も、それは気にかかっていたようだが、如何ともし難いとし難いという表情だ。

「そこだよ。せめて有事に備えて、ホットラインくらいは敷設できないものかな?
タキオン通信なら難しくはないだろう?」

地球人はスターシャに足を向けて寝ることはできない。
向こうが受けるかどうかは別にしても、何か変事があれば手を差し延べるのは当然の事だ。検討する値はあるはずだ。

「‥‥確かにそうですね。真田さんが退院したら相談してみます」

――それから程なくして、『ヤマト』『白根』『水無瀬』でイスカンダル救援に赴くことになり、様々なイレギュラーに遭遇することになるとは、神でない身では予測しようがなかった。
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