第2章:侵掠の彗星2plus(白色彗星帝国戦役〜インターミッション)

□諦めざる者達の戦い20
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――機能不全に陥った都市要塞を爆破崩壊させて出現した機動要塞(超巨大戦艦)『ガトランティス』は、まさに圧倒的な火力、否、暴力で残存地球艦隊を文字通り叩きのめした。

ものの数分で巡洋艦以上の艦は殆どが爆沈又は戦闘不能に追い込まれたが、駆逐艦や護衛艦は砲火が掠めただけで爆沈してしまうので、残存艦は無傷か損傷軽微という両極端な状態にさせられた。

『ヤマト』に至っては全ての武装が破壊され、乗組員の大半が戦死という有様。
そして、『白根』も

「1番主砲塔は大破、2番主砲塔も旋回不能、艦首魚雷も先程投棄しました」

使えるのは艦底部の3連装6インチ副砲塔と拡散波動砲くらいなものだ。

「そして‥‥戦死・MIAが10名、トリアージブラックが4名。重傷判定者が17名、軽傷判定者が52名です」
「‥‥そうか」
「‥‥‥‥」

乗組員の3割が死亡・MIAと重傷で離脱。戦力的には明らかに壊滅である。
特にブリッジクルーにショックを与えたのは、副長兼航海長である近藤静市の死だった。

(くっ‥‥!!)

2年前とは次元違いの戦力を得たというのに、この凄まじい損失は何なのだ!?

敵と己に憤怒し、アームレストを握る手に力が入ったその時、通信席のパクが声を上げた。

「敵要塞戦艦から地球圏全域に、全周波帯通信が発信されています!」
「‥‥繋げ」

土方は受信を命じる。

メインモニターに1人の人物が映った。

緑色の皮膚に、頭髪と眉が繋がっている髪型を除けば、地球人と大差ない顔立ちだ。
地球人に換算すれば土方くらいの年齢か。

(こいつがズォーダーか‥‥)

かのテレサが『ヤマト』に提供した白色彗星帝国の情報にあった、敵国の国家元首、大帝ズォーダー。

歴代の元首の中でも際立ったカリスマ性を持ち、あのアンドロメダ銀河を完全征服したという。

そのズォーダーが勝ち誇った顔で傲然と口を開く。

『どうだ、解っただろう。宇宙の支配者はただ1人、この私なのだ。
私がこの宇宙の法であり秩序である!生命ある者はその血の一滴まで私の所有物に帰す!‥‥よって、当然、地球もこの私の物だ』
(‥‥何とでもほざけ)

冴子は内心で毒づきながら、抗戦の方策を探っていた。

『白根』に残された目ぼしい武装は拡散波動砲のみ。
威力は問題ないだろうが、今の位置から撃てば味方艦を巻き添えにしてしまう可能性が高い。

(どうする‥‥?どうしたら味方の犠牲を抑え込める‥‥?)

モニターには古代の顔も映っていた。
ズォーダーに猛然と噛み付き、反論しているが、当のズォーダーは嘲笑の色を隠さない。

『あくまで戦うか、ヤマトよ。それも良かろう。
だが、全ての武装を失い、エネルギーも底をついた貴様がどう戦うのだ?』

ズォーダーは哄笑しながら通信を切った。

「‥‥司令、意見具申します」

しばらくスクリーンを睨み付けていた嶋津冴子は、後ろの土方に向き直った――。

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