第2章:侵掠の彗星2plus(白色彗星帝国戦役〜インターミッション)

□諦めざる者達の戦い18.3
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――ミッドチルダ首都クラナガン郊外・八神家――


「ふう‥‥」

時空管理局、ミッドチルダ首都防空隊に籍を置くヴィータ二等空尉は当直勤務を終えて自宅の前に立った。

JS事件後の管理世界は概ね平和である。
犯罪が絶えたわけではないが、都市規模以上の事件は起きていない。
しかし、ヴィータは胸騒ぎを感じていた。
原因には心当たりがある。

第144・145管理外世界の崩壊と、相次ぐ艦船の遭難事件。

管理世界は直接の影響を被っていないものの、管理局より遥かに強力な戦闘艦を持つ3つの勢力の存在は、士官クラスの局員なら皆知っている。

放置しておけば、いずれ管理局や管理世界に牙を剥いてくるから、早く本拠地を特定して制圧、最悪は殲滅すべしと主張する者もいるが、ヴィータや彼女の主はそれらの強硬意見には与していない。

『そんな艦隊を持つ勢力をよく調んと攻め入ったら、返り討ちに遭うのがおちや。万一こっちの艦が捕獲されて次元航行手段が漏洩したら、必ず報復されるで』

はやてはそう語って、強硬派を批判していた。

門扉を開けて庭に入り、郵便受けを確認すると、封書らしきものが1通入っていた。

「な――!」

手にとったそれを見たヴィータは絶句する。

その封書の宛名は『八神はやて様・八神家御一同様』とあった。
しかし、ヴィータが驚いたのは、裏面にあった差出人の名前。
ミッドチルダ語で『ユーノ・スクライア』と肉筆で記入されていたが、住所は本局にあったユーノの官舎になっている。
慌てて封筒を戻して消印を見ると、第6管理世界首都になっていた。

一瞬、これを開封していいものか悩んだが、

(宛名は八神家一同だ。つまりあたしも開封して読む権利がある!)

と解釈し、封筒を手にいそいそと玄関をくぐる。

数分後、

『あんの、極楽イタチー!』

家の中から漏れ聞こえてきた怒声に、庭先に降りていた野鳥達は驚いて一斉に飛び立った――。
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