第2章:侵掠の彗星2plus(白色彗星帝国戦役〜インターミッション)

□諦めざる者達の戦い17
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「ここは俺達が支える。お前らは行け!」

親衛兵団と撃ち合いながら、ミハロビッチが古代達に叫ぶ。

「連隊長!」
「ここの心臓を、ハツの串焼きにしてやるんだ!急げっ!」
「連隊長の言う通りだ。ヤマトの兄ちゃん達、このファッ〇ン要塞の腐れ心臓をぶっ潰せ!」
「そうだそうだ!」
「さっさと行きやがれ!」

案じる古代に、ミハロビッチの手下ども‥‥もとい、配下の隊員達も米海兵隊出身だけに口が悪いが、彼らなりに古代達を鼓舞する。

「持ってけ!」

隊員が銃剣付突撃銃を古代達に放り投げた。

彗星帝国軍の突撃銃には銃剣が付いておらず、ここの戦闘では、この銃剣が彗星帝国軍警備兵を多数討ち取っている。

「‥‥行こう。時間には限りがある」
「はい」
「ん!」

古代・真田・斉藤は動力炉に向けて走り出す。

「行かせるか!」

親衛兵団長の怒号に合わせて数人かが古代達に突撃銃を向けようとするが、

「させるかよ!」

ミハロビッチ以下の空間騎兵隊員が親衛兵団に向けて射撃しながら突撃をかけてきた。

「下等人種どもが!ここが貴様らの墓所だ!!」
「熊とゴリラのクッキングタイムだ!」

罵声を交わしながら、屈強な者同士の凄惨な肉弾戦が始まった――。

撃ちかけてくる警備兵を撃ち斃しながら3人は駆ける。

「おい、こんなとこにゴキブリが飛んでるぞ!」

斉藤が叫ぶが、彼らが走り抜けた後には圧潰したゴキブリが点在していた。

《思ったより迎撃が弱い。それに、あちこちに撃たれたわけでもないのに卒倒した兵士がいる。どういう事だ‥‥?》

走りながら古代に疑問が浮かぶが、答えに近づく前に殺気を感じ、その方向に発砲する。

絶叫とともに監視台から転落していく敵兵を振り向きもせず、3人は動力炉に向けて走り続けた。


――首都要塞付近宙域――

都市要塞下部に回り込んだ地球残存艦隊は、新たに乱入してきた敵の小艦隊と交戦した。
中型戦艦1に駆逐艦6は大した脅威ではないが、1隻とはいえ中型空母は軽視できない。

既に発艦していた円盤形戦闘機とカブトガニ形攻撃機が飛び立ち、阻止にかかるコスモタイガーとドッグファイトが始まった。

戦闘機としての性能はコスモタイガーが上回っているようだが、地球側のパイロットには疲労が出ており、不覚をとって撃墜されてしまう機も出ている。

さらにカブトガニ形攻撃機は機動性が意外に高い上、機体上の対空火器で反撃してくる。

そこに中型雷撃艇が飛び込み、敵攻撃機の進路妨害を試みるが、中には針路を誤ったか、衝突して相討ちになるものも出ている。

それをも突破してきた敵機には地球艦からの対空砲火が浴びせられるが、何機かは突破に成功。対艦ミサイルを放った。

何発かはパルスレーザーが命中して爆発したが、半分以上は航跡を引いて地球艦の横腹に命中して爆発した。


  ――『白根』――

閃光と共に艦が揺さぶられる。

「被害報告急げ!」
「‥‥左舷艦首下部に1発直撃!左舷魚雷発射管使用不能!」
「『ヤマト』2発被弾!戦闘続行に支障なし!」
「駆逐艦『パーシバル』『サイクロン』大破落伍!」

沈没艦はないが、駆逐艦は戦線離脱を余儀なくされた。

これで敵空母が複数いたら被害はより深刻だったが、1隻しかいない現状では早くも息切れしたようだ。


  ――『ヤマト』――

「空母直衛艦、接近してきます!まもなく主砲射程内に入ります」
「先頭艦に照準!戦艦と『白根』にデータを送れ。各艦の射程に入ったら集中砲火を浴びせる!」

戦闘指揮席には砲術長の南部康夫が座り、砲戦指揮をとっている。

『ヤマト』以下の戦艦と『白根』は敵戦艦の艦橋砲を警戒して、巧みに正面を避けつつ敵艦群に照準を定めた。

「発射!」
「撃て!!」
「ファイヤ!!」
「ファイエル!」

『ヤマト』『バーラム』『ストラスブール』『白根』の主砲が轟然と火を噴き、先頭の中型戦艦は衝撃波砲の射程に入れないまま、串刺しにされて轟沈。
突撃を仕掛けてきた駆逐艦も後を追わされた。

中型空母は丸裸で戦艦と戦う愚を冒さず、射程内に入ることなく撤退していった。

――首都要塞から大半の灯火が消えたのは、およそ20分後だった。

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