第2章:侵掠の彗星2plus(白色彗星帝国戦役〜インターミッション)
□諦めざる者達の戦い16
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――白色彗星帝国・首都防衛司令部――
臨時司令部では新たなる悪夢が始まっていた。
「うわあっ!何だ!」
「だ、誰か何とかしなさいっ!痒いっ!痛いっ!!」
「衛星兵と防疫隊を呼べ、大至急だ!」
パニックに陥る彼らの足元には黒っぽい大小の虫が縦横無尽に走り回っている。
中には飛び回るものまで登場し、人の頭や背中に止まったりして、パニックを招くのだが、事態をより深刻化させていたのは、どこからともなく“降って”くる小さな虫?達だ。
その虫達は以前のような虫――蚊――のように飛行はしないのだが、やはり吸血性があり、咬まれて血を吸われると痛みに加えて激しい痒みを発症した。
『ワハハハハ、ワハハハハハ‥‥!』
どこからともなく哄笑が響く。
「!?」
地球人、特に日本人が見たら“四谷怪談”と言ったであろう姿になり果てたサーベラーがギクリとして天を仰いだ。
他の者も信じられないような表情を浮かべるが、何割かはそのままアレルギー症状を起こしたのか、失神して倒れた。
このように呵々大笑する者は、この国に1人しか存在しない。
「た、大帝!?」
「そんな、まさか‥‥」
周囲を見渡しても大帝の姿があるわけもなく、困惑する者も次々とアレルギー症状で昏倒するか、痛痒みで七転八倒する。
サーベラーも例外ではなく、この痛痒感が和らいだ時には、事態は絶望的になっていたが、同様の事態は他の場所でも起きていた。
親衛兵団と地球側突入隊がにらみ合いと罵倒合戦を繰り広げているその時、主動力炉の方向からけたたましい絶叫と悲鳴が聞こえた。
これにはさすがの親衛兵団も不審の色を見せる。
「何をやっているのだ。奴らは」
舌打ちをしながら音声通信を繋ぐや否や、
『地球軍の生物兵器だ!奴ら、徘徊生物を大量に直接転送してきやがった!助けてくれ!!』
という絶叫が響き渡った。
「何をバカな事を!奴らにそんな技術があるわけ――」
『嘘じゃない!黒い徘徊生物が大量に湧いて出てきたんだ!!』
通信機の向こうでは異常な事態が起きているのか?
「司令部に確認しろ」
困惑した士官が臨時防衛司令部に問い合わせさせるのだが、
「司令部には吸血生物が湧き出てきて、総参謀長をはじめ、被害者多数。昏倒者も続出」
という回答が戻ってきた。
「一体、何が起きているというのだ?」
防衛戦の総指揮をとるべき司令部が機能しないとは、一体どういう事か!?
親衛兵団に困惑と動揺が走った。
一方、地球側も敵方の僅かな変化を悟った。
元々、ガミラス相手に劣勢を強いられながら、僅かな隙をついては一糸報いるような戦いをしてきたため、鵜の目鷹の目で敵の僅かな隙をも見逃すまいと狙っていた。
そういう連中を相手にしたことが、親衛兵団の不運といえよう。
ポンポンという音と共に、またもやグレネードが放物線を描いて、彗星帝国軍親衛兵団に向かって飛んでいった。
「!!‥‥しまっ――」
狼狽の叫びが上がった次の瞬間、陣地の中でグレネードが次々と炸裂。屈強な兵士が声も上げられず肉片と化する。
(Let's go!!)
(Move,move!!)
(行くぞっ!!)
ミハロビッチの合図に続き、宇宙戦士達が走り出した――。
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