第4章:いざイスカンダル!そして‥‥(イスカンダル救援作戦編)その2

□通告
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『卿らの戦いぶりに敬意を表する』
「‥‥‥‥」

スクリーンに映った人物の顔立ちは、ガミラス人やイスカンダル人、ガトランティス人や、コルサックらザルツ人、あるいはビーメラ星の蜂人種とも違っていた。

血色ゼロの蒼白いスキンヘッドに隈取りのような目許に眉毛は見当たらない。

こういう人種もいるのかと新鮮な驚きもあるが、警戒心を抱かざるを得ない。

「‥‥それはどうも」

皮肉を込めて返すが、相手は表情を変えずに言葉を繋ぐ。

『卿らの名を聞いておこうか』
「‥‥他人の名を訊ねるのなら、まずそちらから名乗っていただこうか、司令官殿」

向こうがこちらの事を知っている以上、こちらも相手を知らなければならない。
真田と島がついているとはいえ、古代はまだ沸点が低いし、デスラーは安全装置が外れた爆弾。
ましてや目の前の相手は、ガミラス星に穴を開けていた連中の責任者の可能性が高い。

『貴官の言い分が正しいな。‥‥私は暗黒星団帝国軍、第3機動艦隊司令官メルダース』
「私は地球防衛艦隊、独立第13戦隊司令官代理の嶋津 冴子」
『大ガミラス帝国軍中将のタランだ』

ガミラス側で名乗りをあげたのはタランだ。
メルダースはあくまで部隊指揮官であり、総統たるデスラーが直接話す必要はないと判断したのだろう。

とはいえ、タランもまた憤怒に身を震わせているのは確実で、どんな結末になるのか、考えるだけで頭が痛くなる。

『‥‥‥‥』
『‥‥‥‥』

『ヤマト』の古代、『水無瀬』のナーシャ・カルチェンコも懸念を隠せない表情をしていた。

その懸念は正しかった。

『ガミラス帝国‥‥あの穴だらけの醜い星から逃げ出した放浪者どもか?』
「!?」
『!!?』

メルダースは揶揄しながらタランに応じた。

空気が凍てついた。

(この禿茶瓶、経緯を知っててわざと言ってやがるな‥‥)

内心で毒づいた冴子とナーシャは渋面になり、古代は怒りの表情になった。

ガミラス星を無人にした責任の半分は地球側にあるから、メルダースを非難する資格はないのだろうが、互いの命運を賭けて戦った結果であり、関係ない奴らに論評されたくないという思いは地球・ガミラス共通だった。

まあ、当事者に客観的な評価や分析をしろというのは無理な注文なのだが。

それはさておき――。

「メルダース司令にお尋ねしたい」
『何かな?』

軍命を受けた者として、新たな勢力の情報は可能な限り多く集めなければならない。

「ガミラス星の地下物資を採掘していたのは、貴官ら暗黒星団帝国軍か?」
『そうだ。ガミラス星のガミラシウムとイスカンダル星のイスカンダリウム採掘は我が帝国の事業である』
「‥‥‥‥」
『‥‥‥‥』

予想していたとはいえ、いい気分ではない。

「ガミラシウムとイスカンダリウムを採掘して何に使うのか?」
『我が国に敵対する国家や勢力を滅ぼす為の戦争に使う』

当然だろうと言わんばかりの表情でメルダースは答えた。

『我々は無意味な戦闘はしない。イスカンダリウムの採掘を妨げられない限りは、だがな‥‥』
(虎の尾踏んだ――!)

こりゃダメだ。血を見ずには収まるまい‥‥。
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