第4章:いざイスカンダル!そして‥‥(イスカンダル救援作戦編)その2

□説得
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――『ヤマト』医務室――

第1艦橋の様子は医務室でもモニターされていた。

(これって‥‥)

フェイトは、これ以上見るのはまずいと思い、席を外そうとした。
しかし、

『君にもこの世界の事を知っておいてほしい』

と真田に諭されたため、引き続きモニターを見ていたが、総統デスラー以下のガミラス人やスターシャと古代 守、さらには2人の間にサーシャという娘まで生まれたらしい事実を目の当たりにし、言葉が出ない。

(どう整理したらいいんだろう‥‥)

管理世界の住民は、人種的には地球人と殆ど変わらないが、ガミラス人のような青い肌を持つ人間は初めて見た。
しかも、ガミラスとこの世界の地球はつい先日まで9年以上戦争していた間柄で、画面に映るデスラーが最高指導者だ。
年齢は30歳台くらいだが、背後に居並ぶ高級軍人が一糸たりとも乱れず直立不動でいるあたり、かなりのカリスマ性を持ち合わせているのだろう。

しかし、つい先日まで彼らガミラスは地球と敵対し、今も正式に和解したわけではないというが、一方のリーダーたるデスラーが地球防衛軍の一士官と対等に話し、ここにいる誰もがそれを当たり前のように受け止めていることは、フェイトにとって衝撃的だった。

(互いに同胞の命運を賭けて戦った間柄だというけど‥‥)

自分も高町なのはやヴォルケンリッター達と何度もぶつかり合った末にようやく理解し合えるようになったが、目の前にいる彼らが抱える事情は遥かに壮絶で凄惨なものだ。
しかし‥‥。

(お互いに言いたい事は無数にあるはずなのに、それをひとまずうっちゃっても、この人を助けたいのか‥‥)

フェイトはモニターに映る金髪の美しい女性――スターシャ・イスカンダル――を見た。

(確かに、この人は紛れもなく国を、そして星を統べる王なんだ)

画面越しでもわかる。デスラーともまた違う意味で存在感がある人物だ。

ただ、わからない事もある。
スターシャは地球連邦にとっては大恩人であり、ガトランティスとの戦争後に残った貴重な戦力をさいてでも救援に差し向けるのは理解できる。

しかし、何故ガミラスが、新国家建設という大事業を中断し、犠牲を払ってまでイスカンダルを、スターシャを救おうとするのか?

ガミラスとイスカンダルが大昔から隣国同士だったという事情はあるにしても、今のガミラスでは、新たな母星を見つける事が何にも増して優先されているはずだ。

それなのに――。

(ガミラス人のメンタリティ、あるいはイスカンダルへのノスタルジーなんだろうか‥‥?)

考え込むフェイトの傍らで、ヴィヴィオも真剣な顔つきで、画面とフェイトの表情を見比べていたが、唐突に画面が乱れ、皆の姿が消えた――。
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