第4章:いざイスカンダル!そして‥‥(イスカンダル救援作戦編)その2

□追いかけて赤色巨星
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   ――『ヤマト』――

「『水無瀬』から緊急連絡!10時50分の方角、200宇宙キロに直径約300キロの準惑星1!イスカンダルへの衝突コースです!!」

『水無瀬』のタキオン探索データを受けた相原からの報告を受け、ブリッジに緊張が走る。

この大きさだと主砲では破砕できない。
古代は即断した。

「波動砲で粉砕しよう。相原、嶋津さんに波動砲の許可を申請してくれ」

冴子からの許可はすぐ返ってきた。

「よし、波動砲発射用意!」
「波動砲戦モードに移行だ、急げ!」

すぐさま古代と真田が波動砲戦指示を出し、艦内の照明が落ちる。

「エネルギー充填開始!」
山崎機関長の指示の直後、主機関の回転が上がり始めた。


   ――同・医務室――
波動砲にエネルギーを優先充当するため、艦内電力は減らされ、照明は大幅減光又は保安灯のみとなる。
無論、医務室も医療関係機器以外はカットの対象だ。
ワープの時と同じく波動エンジンが全開で回転する音が医務室にも伝わってくる。

ヴィヴィオ達はジャンプシートに座り、シートベルトを付けている。

「ベルトは締めた?」
「締めたよ〜」
「大丈夫です!」
「‥‥そうちゃくちゅうです」

最年少のセルボにシートベルトを着けながら確認するフェイトに、高町ヴィヴィオとコロナ・ティミルは元気よく応じ、セルボはいつもどおり抑揚乏しく答えた。

重力アンカーという安定装置があるとはいえ、波動砲の発射には前後方向に衝撃が加わる。

「“はどうほう”って、すごい兵器なの?」

神妙な面持ちでヴィヴィオが訊く。

わずか1年前、名目上とはいえ、巨大艦の主だったことがある彼女としては、色々と思う事があるようだ。

「うん。ママも一度見た。数十隻の艦隊が一瞬でやられたよ。‥‥管理局の本局に当たったら、本局は一瞬で跡形もなく吹き飛ばされるだろうね」
「そんなにすごいんだ‥‥」

“ゆりかご”の大まかなデータはヴィヴィオの記憶に残っているが、『ヤマト』の力はゆりかごと同等以上だろうし、同じくらいの艦は数十隻あるという。

(そんなすごい艦(ふね)を沢山揃えないと守れない世界なんだ‥‥)

自分達の世界がいかに平和なのか、子供の身でもわかるというものだ。

そこに、古代の一斉放送が響く。

『これよりイスカンダルへの衝突コースにある準惑星を破砕する。波動砲発射30秒前、各員対ショック対閃光防御を急げ!』
(波動砲で惑星を砕く‥‥?)

そんなことができるのかと一瞬疑問が湧いたが、『ヤマト』の波動砲は、ガミラスの基地ごとオーストラリア大陸大の目標を破壊したと聞いたことを思い出した。

(そうまでしても、助けたい人がいるのか)

フェイトの思いをよそに、波動砲のファイナルカウントダウンが始まった――。
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