第4章:いざイスカンダル!そして‥‥(イスカンダル救援作戦編)その2

□再暴走
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 ――『白根』――

デスラー砲発射の閃光は13TF各艦からも確認できた。
「何だ?あれは‥‥」
「発射位置と火線の方向、エネルギー反応からみて、デスラー砲に間違いありませんが‥‥」
「可変収束式か。しかし、あれは‥‥」

デスラーから放たれたエネルギー弾はメガホン状に広がりながら敵艦隊の中央部を走り抜けて“大穴”を開けたのだが、嶋津冴子ら各艦のブリッジクルーが我が目を疑ったのは続いて起きた現象だ。

デスラー砲の直撃を免れた艦艇も次々と爆発四散している。
至近にいた艦が爆発するのはわかるが、誘爆のスピードが異常に早く、まるで花火のような勢いで爆発していくのだ。

(敵艦の構成材の中に、波動エネルギーに過剰反応する材質が含まれているのか‥‥?)

回線を開いて『ヤマト』の真田に確認すると、同様の見解が返ってきた。

「‥‥とりあえず、今は最優先事項を片付ける。『ヤマト』はデスラー総統とコンタクトをとってくれ‥‥通信長、改めてイスカンダルに呼びかけるんだ。全艦針路そのまま、マザータウンに向かう」

別行動のコルサック艦隊はデスラーの命令を受信できたのか、敵艦隊に突撃している。

『白根』『ヤマト』『水無瀬』は20宇宙ノットでイスカンダルに接近していった。途中、攻撃をかけてきた敵小型艦3隻を血祭りに挙げながら。

イスカンダルの静止衛星軌道に達したところでパク通信長が告げる

「『ヤマト』とガミラス艦隊旗艦の通信が繋がりました。接続します!」

メインスクリーンに古代 進と、大ガミラス帝国総統・デスラーの姿が映し出された。

『ヤマト』クルーは何度も見たが、それ以外の地球人がデスラーとまみえるのはこれが初めてだ。
デスラーの後ろに控える幕僚達が、硬い表情でこちらを見据えているのがわかる。

『白根』『水無瀬』のブリッジクルーも一様に硬い表情になる中、冴子は立ち上がり、敬礼しながら名乗る。

「地球防衛軍所属、巡洋艦『白根』艦長の嶋津冴子です。‥‥イスカンダルの危機を知らせていただいた事に感謝します」

恨みつらみをぶつけてやりたいのはやまやまだが、死者が甦るわけでもないし、我々もまたガミラス本星をメチャクチャにしてしまったのだから、一方的に相手の非を鳴らす資格はない。
今は共通の目的――スターシャ夫婦の救出――のために共同で事に当たるのが先決だ。

『‥‥大ガミラス帝国総統、アベルト・デスラーだ。要請に応えてくれたことに感謝する』

第一声はともに大人のやりとりで終わり、後のやりとりは主に古代とデスラーの間で行われた。

デスラーもスターシャと古代 守に自艦への移乗を促し、守には『ヤマト』や地球とは休戦し、身の安全を約束したのだが、2人は、感謝しながらも、イスカンダルを捨てる事はできないとデスラーの勧めを固辞するばかりだ。

『2人が我々の勧めを固辞するのには、我が国のこれまでの所業が影響しているかも知れない。君たちの説得になら応じてくれるかも知れん』
『‥‥わかった。俺たちもそのつもりで来た』

しかし、事態は再び暗転する。

「イスカンダル星、暴走します!!」

この宙域にいる全ての地球艦・ガミラス艦の観測員が異口同音に告げた。
それに対する指揮官の命令もまた異口同音。

「追跡しろ!イスカンダルを見失うな!!」

残敵掃討に当たっていたガミラス艦も舳先を返し、旗艦に続いた、
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