第4章:いざイスカンダル!そして‥‥(イスカンダル救援作戦編)その2

□取リ急ギ報告致シマス@
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   ――『ヤマト』病室――

「そっか‥‥」

フェイトから地球側との協議の結果を聞いた高町なのはは静かに頷き、心底申し訳ない表情になった。

「ごめんね。全てフェイトちゃんに任せっきりで‥‥」

なのはとすれば、自分が負傷してしまったばかりに、地球防衛軍サイドとの折衝等を全て任せっきりにしているのが心苦しい。


「気にしないで。困った時はお互い様だし、折衝は私の仕事なんだから」

フェイトは首を横に振った。

凄まじいイレギュラーだが、地球側と折衝してなのはやヴィヴィオ達への待遇を少しでも良いものにするのは管理局員として当然のことだ。

幸いだったのは『ヤマト』の幹部クルーや部隊長が『話せる』人物だったことだろう。

ガミラスやガトランティスといった強大な軍事国家からの侵略を跳ね返してきたからこそ、弱者に寛大な態度をとれるのだろうか。

「問題は、あそこ(遭難現場)に戻っても管理局の艦と合流できる保証がないことだけど、これは信じるしかないね」

嶋津冴子から伝えられたのは、『ルシタニック』遭難宙域に到着後、24〜48時間、不規則な軌道で一帯を周回し、管理局の艦が来るかどうか待つ。
但し、ガトランティス・暗黒星団帝国の艦と遭遇すれば戦闘になりかねないので、その際は合流を中止するというものだ。

これにはフェイトも異存はなかった。

もうひとつ、ガミラス帝国から事実上譲渡された銀河間通信網が使用可能になり、地球防衛軍本部と連絡がとれた場合は出席してほしいとも要請され、フェイトも即座に承諾した。

『クライド・ハラオウン』は地球防衛軍の保護下にある。
何としても直接話をし、義父であれば帰還の道筋をつけたい――。

「――トちゃん‥‥フェイトちゃん?」
「え‥‥!ご、ごめん、なのは(汗)」

思考に没頭していたのか、なのはに呼ばれて現(うつつ)に戻った。

「フェイトちゃん、地球にいるクライドさんが正真正銘、クロノ君のお父さんだったら、迎えに行きたいんでしょ?」
「!‥‥なのはにはわかっちゃったか」

言い当てられて驚いたが、親友の鋭敏さをよく知るフェイトは隠すことなく首肯したが、なのははさず答えることにした。

「‥‥もしそうなった時は、私やヴィヴィオの事は心配しないでいいから、行ってきなよ」
「!‥‥なのは‥‥」

心中の心配事を言い当てられた事と、にも関わらず自分の背中を押す親友に、フェイトは驚いた。

「私もクロノ君のお父さんに会ってみたいし、クライドさんがカレルちゃんとリエラちゃんと一緒にいる姿を見たいもの‥‥もっとも、私達も23世紀初めの地球に行くかも知れないんだけどね」

時間内に管理局の艦と合流できなければ、なのは達も2201年の地球に行く事になる。

そうなってしまった場合、ミッドチルダに戻れる時期はだいぶ後になるか、生涯戻れない可能性すらあるのだ。

「‥‥まあ、今からあれこれ考えても仕方ないね。ケセラ・セラだよ」
「それ、局員にあるまじき台詞だよ、なのは」

親友の余りに楽天的な言い様に呆れたフェイトだが、その数分後、ブリッジに呼び出された――。
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