BOOK 1

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好きな子がいて、私は好きだと伝えた。でも、好きな子から貰った好きは私の好きとは違っていて――…


私は関係を壊してでも好きな人に私の好きをわかってほしくて言葉を紡いだ。


好きな人は当然驚いていて「冗談だよね…?」と目を泳がせていて、嗚呼…駄目だと思った。



「好きだよ、**が。本当に好きなの…」


「…私も、好きだよ…」


紡がれた言葉が嬉しくて、一人で勝手に舞い上がって……好きな人の本心を見落としていた何て思いもしなかった。



好きな人と付き合い初めてからも以前と関係は全く変わらなかった。初めは好きな人が恥ずかしがっているだけなのかと思っていた。


でも、それは私の大きな勘違いで、好きな人は私との友達関係を壊したくなくて私を好きだと言ったんだと気付いた。


そう思うと段々好きな人と一緒に過ごす時間が苦しくなった。


ごめんね、私がそう言わせたんだよね…?



「別れよっか」


「え…?」


そう切り出した時の好きな人の反応は意外なものだった。自分で思っていたよりも私の事が好きだったと最後の最後に伝えてくれた。


もう…遅いよ。何で今言うの…?それを知ってたら私はこんな選択を選ばなかったのに…っ。


それから好きな人は好きだった人に変わり、私と好きだった人は以前のように友達として仲良くしていた。


でも、時々二人きりなったり顔が近くなったり手が当たっただけで意識してしまう私は…好きだった人を再び好きな人に戻してしまう。



馬鹿だな…報われないのに。


わかっていても止まらない想いを誰が止めて。それを願い続ける日々を彼が見ていた何て私は知らなかった――…



―立ち止まる人影―




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