BOOK 1

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征十郎と付き合い始めて約一年が経つ。あの日から僕達は変わらない生活を送っていた。征十郎が居て僕が居て、同じ家で生活をする毎日。


幸せというものを改めて感じる。単純に征十郎と普通に笑い合う事が出来る今が物凄く愛おしい。


一年前、毎日のように首を締められていたのが嘘のように僕達は今とても仲が良い。



だが、そんなある日…征十郎の元にある一件のメールが届いた。僕の隣で読書をしていた征十郎は携帯を開いた途端、何故か驚いている。


初めは部活関連だろうと差して気にも止めていなかったが、その征十郎の反応が気掛かりで翌朝に尋ねてみる事にした。



「昨日のメール誰から?」


「妬いてくれてるという訳では無さそうだね」


「はぐらかすな」


睨み付ければ征十郎は「どうしたものかな…」と呟き再び僕を見る。



「いずれは向き合ってもらうつもりだったし問題は無いか」


「向き合う?誰が?」


「君と君の母親だよ」



―――は?思わず出た声に征十郎は特別気にした様子は無く話を続ける。


向き合う向き合わないは今はどうだって良い。逆に母さんと向き合うも何も僕は追い出された身だ。今更何を向き合う必要があるんだ。


それより、今日初めて征十郎が母さんと連絡を取ってる事を知った。付き合って一年、共に屋根の下で暮らして一年以上は経つのに何でそんな重要な事隠してたんだよ。



「…あの人といつから連絡取ってんだよ」


「連絡を取り始めたのは昨日が初めてだよ。お前を預かる時に一応連絡先は聞いていたが、特別連絡をする事も無かったから今までは黙っていた」


「…はぁ、そういうのもっと早く言えっての」




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