火拳、第二の人生なり

□4 火拳、異世界を学ぶ
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それから俺はマリナさんに‘念’というものを詳しく教えてもらった。
纏 絶 練 発………
聞いていて、何だか少し覇気に似ている感じがした。

「エース君、念を起こすには2つの方法があるのだけどどっちがいい?1つ目は、ゆっくり自分で起こすこと。これは、危険は少ないけど、人によって念が起きる時間が変わるわ。2つ目は、無理やり起こす方法。これは、失敗すると死ぬ可能性が出てくるわ。エース君はどっちにする?」

考えるまでもない。
俺は少しでも早く元の世界に戻りたいのだ。

「無理やりで、お願いします。」

マリナさんの顔を見ると、やっぱり……みたいな表情を浮かべていた。

「まぁ取り合えず、朝の訓練の時間はもうすぐ終わるわ。念はね、一般人には知られてはいけない能力だから、ここでは朝と夜しかしていないの。昼は、念を使用しない身体能力の訓練。だから、念を起こすのは早くて今日の夜。もし、あなたの身体能力が念を覚えるのに不十分ならば、念を起こすのは延期になる。いいわね?」

つまり、それほど念を覚えることは危険っていうことか……
俺はマリナさんの言葉にうなずいた。

「さぁ、皆そろそろ朝食の準備をしましょう!きりがいいところで訓練をやめて戻るわよ!!」

マリナさんの声が響く。
皆それぞれ自分の訓練をやめ、マリナさんの指示に従う。

「エース!!どうだった?念の初訓練は??」

俺に話しかけて来たのはこの孤児院の子供達の中で最年長のカナタだ。
最年長って言っても、16歳だが……
まぁ、この中では、俺の本当の年齢に一番近いせいか、とても話しやすい。

「あぁ、とっても面白そうだな!!早く覚えたいぜ!」

「俺も初めて念を知った時は、めっちゃ興奮したなぁー……まぁ、焦りは禁物だぜ。特に念はな……それより早く食堂に行こうぜ!早く行かないと他の奴らに俺らの分まで食われちまう!!」

「おうよ!!」

俺とカナタは急いで食堂まで行った。
食堂に入ると、他の皆に遅いなど文句を言われる。

「皆席に着いたわね。それでは、手を合わせて、いただきます。」

「「「「いただきます!!」」」」

皆凄い勢いで食べる。
もちろん、俺もだ。

パクパクモグモグ……ドン……………

「エース!?おい、しっかりしろ!!」

カナタの心配そうな声が響く。

「んん?あー、よく寝た〜」

「「「「寝てたんかい!!」」」」

周りを見渡すと、皆ひどく驚いた表情をして突っ込んできた。

「……あぁ、言ってなかったっけ?俺、食事中に寝ちまう癖があるんだ。だから、俺が食事中に倒れても気にすんな!!」

((((どんな癖だよ……))))

昨日の時点では、この癖が出なかった。
やはり、少し緊張していたのだろう………
つまり、この環境になれてきた証拠だな……
俺はそう感じた。

食事も終わり、午前中は勉強の時間だ。
はっきり言って俺は勉強が嫌いだ。
しかし、嫌いだからと言ってこの世界の文字を覚えないわけにはいかない。
俺は必死に勉強した。

この世界の文字は「ハンター文字」というらしい。
ハンターとは何だ?とマリナさんに聞くと、この世界の職業の一つらしい。
その資格さえあれば、世界中のほとんどを旅することができるようになるらしい。
しかも、身分証明書にもなり、世界の公共施設や宿泊施設のほとんどがタダになるらしい……
まぁ、取得するのは困難らしいが。
しかし、これは俺にとって凄く良いものではないか?
元の世界に戻る方法を探すために世界中を旅したいし、身分証明書を持たない俺にはちょうどいい。

当面の目標はハンターになることだな。

そうと決めたらまず、ハンター文字を覚えなきゃな………

俺は再び勉強を開始した。

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