火拳、第二の人生なり
□2 火拳、決意する
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俺はマリナさんに全てを話した。
普通なら頭おかしいんじゃねーの?と言われるような話を。
昔の俺だったらありえないな……
これもルフィや親父達やサボのおかげかな……
人を信じられるようになったのは。
マリナさんはあったさりと納得した。
「こんな話、普通なら信じないんじゃないですか?」
俺は自分で話しておきながら、こんなにあっさり納得するマリナさんに疑問を感じ尋ねてみた。
マリナさんはそんな俺にむかって笑みを向け、
「信じられるわよ。あなたの目は嘘を言っている目じゃないもの。それに、嘘をつくならもっと信じやすい嘘を普通はいうでしょ?」
と言った。
「……そうですね。」
マリナさんと俺の視線が交わる。
マリナさんの目は、薄い青でキラキラしていた。
「……エース君、もしあなたが元の世界に戻れるかもしれないって言ったらどうする?」
「え………?」
何かを試すかのようにじっと俺を見つめてくる。
俺はその視線を反らさず見つめ返した。
「……もしそんな方法があるならば、俺は元の世界に戻りたい。兄としてあいつの、ルフィの成長を見届けたいんだ。……俺にその方法を教えてくれないか?」
さっきまで使っていた敬語ではなく、俺自身の口調で言った。
「私は厳しいわよ。そして、絶対に元の世界に戻れる方法に辿り着けるとも限らない……それでもあなたはその方法を知りたい??」
「あぁ、頼む。」
こうして俺とマリナさんの師弟関係が結ばれた。
「あとエース君、口調はさっきのままでいいわよ。そっちの方がエース君らしくていいと思うわ。それに、エース君20歳ですしね。」
「それじゃぁお言葉に甘えて。というか、マリナさん何歳なんだ?院長って20代ぐらいの人が務めるものじゃないだろ?」
俺がその言葉を発した瞬間、さっきまで暖かかった部屋の気温がいっきに下降したのを感じた。
恐る恐るマリナさんの顔を見ると、恐ろしいまでに輝いているマリナさんの笑顔が浮かべられていた。
「マッ…マリナさん??」
「うふふふふ………。エース君、女性にはね、聞いてはいけないことってあるのよ。元大人ならこれぐらい分かるわよね?」
俺はその笑顔を見てマリナさんにこの手の質問を一生しないことを固く誓った。
「すみませんでしたっっ!!」
「分かってくれればいいのよ。」
その言葉に安心して下げていた頭を上げると、そこにはまださっきと同じ笑顔を浮かべるマリナさんがいた。
「明日からの修行が楽しみだわ。ねぇ、エース君。」
俺はその瞬間、マリナさんは根に持つタイプだと確信した。