火拳、第二の人生なり
□1 火拳、異世界に飛ばされる
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真っ暗だ……
何も見えない……
ここは何処だ??俺はいったいどうしたんだ……?
あぁ、そうか死んだんだ。
だが、あいつを守れた。
それだけで十分だ。
後悔がないとはいえない……
あいつの夢の果てを見れなかったことは悲しい。
兄として最後まで見届けてやりたかった……
悔しい、そして悲しい………
『それならば、生きなさい。ポートガス.D.エース。』
…………は??いや、俺死んだよな??
『それでは、行ってらっしゃい』
えっっ!?無視??あと何処に行くっていうんだよ!?
『世界が変わることにより、色々変わることがあるでしょうが、貴方ならきっと大丈夫です。ご武運をお祈りします。』
「世界が変わるってなんなんだよっっ??」
がばっっ
…………
「あれ?俺生きてる??というか、ここ何処だ?」
日当たりが良く、温かみのある部屋。サイドテーブルの上を見てみると、洗面器とタオルが置かれている。どうやら誰かが俺のことを看病してくれていたみたいだ。
「あら、起きたのね。体調はどう??」
バッッと声がした方を見てみる。そこには髪の長い女性が一人いた。
俺が気配に気づかないなんて相当の手練れか??
「そんなに警戒しなくても大丈夫よ。私はここで院長をしているマリナよ。あなたは?」
ふんわりとした笑につい警戒を解いてしまった。というか、よくよく考えてみれば、この状況をみる限り俺の看病をしてくれたのはマリナさんで間違いないだろう。つまり、わざわざ看病した俺を襲ったりはしないだろう。
「エースです。看病をしていただきありがとうございます。あと、此処は何処ですか?どういった状況で俺を看病することになったのですか?」
お礼をいった時に下げた頭を上げマリナさんをみると凄く驚いたような顔をした。
「どうされたんですか、マリナさん??」
「あ、いえ、あまりにも子供らしくなくてビックリしただけよ。」
……………子供??
「……俺は20歳ですよ??」
「え!?どう見ても11か12歳くらいにしか見えないわよ!?」
そう言われて自分の身体をチェックしてみると、どうやら縮んでいるみたいだ。
「すみませんが、鏡を貸してくれませんか?」
「ええ、どうぞ。」
受け取った鏡を見てみると、確かに11、12歳くらいにしか見えない。
……これがあの声が言っていた、色々と変わることの一つか……
「ね、言ったでしょう。あとさっきの質問だけどここは、ヨークシンの外れにある孤児院よ。昨日の朝にあなたが孤児院の前で倒れていたのを保護したの。」
「それは本当にありがとうございます。あとヨークシンとはグランドラインの島ですか?」
「………あなた何言ってるの??グランドラインって何のこと??ヨークシンが島なわけないじゃない。というより、ヨークシンを知らないの??子供でも知っている大都市だと思うけど。」
……………どうやら本当に異世界に飛ばされたようだ……………