あぁ、懐かしの友よ

□5 懐かしの「碁」5
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あの日からオレは進藤とよく行動するようになった。
クラスの奴らは、いきなり一緒に行動しだしたオレ達を最初は不思議そうに見ていたが、今ではもう慣れたようで、一緒に行動していても、不自然には思われていない。
その過程で藤崎ともまぁまぁ仲良くなることができた。
藤崎と進藤は見ていてもどかしい………
どう見ても両思いだろ!
って言いたくなる。
まぁ、進藤に関しては無自覚のようだかな………
………………そのうち、くっつくだろう。

「大河ー!今からお前ん家行っていい?……あいつが、打ちたい打ちたい煩いんだ…………。」

噂をすると、その張本人、進藤がこっちに向かって走ってきた。
いかにも疲れました………って顔をしながら…………
佐為にしつこく言われたのだろう…………

「あぁいいぞ。行くか!」

オレはワクワクしている。
佐為と打つ碁は楽しい。
勝ったことがないってことが悔しいがな………

オレと進藤は他愛もない話をしながらオレの家へと向かう。
いや進藤が佐為の言葉を通訳しながらなので、三人かな。
オレの家はそんなに遠くないので、あっという間に着いた。
今日も兄は家にいない。
なんでか知らないが、進藤が家に来る時、いつも兄は家にいない。
不思議だ………………

「早く打って、次はオレと打ってくれよ!オレ強くなりたいんだ!!」

「あぁ、いいぞ。」

と言っても、指導碁だがな………
今の進藤の実力じゃぁ、まともな対局はできない。
だが、成長スピードがすごく早く感じる………
ついつい色々教えたくなるんだ。

まぁ、最初に佐為とだ。
オレは碁盤と碁石を準備する。
オレと進藤が碁盤の前に座り、

「「お願いします!」」

と挨拶をする。
進藤が石を握る。
オレは黒になった。














「…………………ありません。」

「「ありがとうございました!」」

そう言い終わったあと、オレと進藤は一斉に体制を崩す。
特に、進藤は正座に慣れていないようで、床にでれーんと倒れている。

「あーもう、また負けたっっ!強すぎるぜ、佐為!!」

オレは進藤の斜め後ろを見ながら言う。
たぶん、そこに佐為がいるからだ。

『いえ、貴方も凄く強いですよ……しかも、どんどん強くなっている………』

「佐為が大河も強いってさ!しかもどんどん強くなっているって!!」

嬉しい………
オレよりも数段上の実力の人からそう言われるのは………
でも………………

「とはいっても、佐為には全く近づけてねーけどな………うーん……オレはもっと強くなんなきゃなぁー」

「そっかぁー……それじゃ、次オレと打とう!!」

進藤が顔を輝かせながら言う。
純粋に碁を打ちたいって気持ちがダイレクトに伝わってくる。

「あぁ、打とう!!」

それからオレと進藤は一局打った。
進藤はやっと碁の形になっているという感じだ。
でも、話を聞いた限り進藤自身が碁を打ったことはオレと以外ほとんどないようだ。
つまり、すごい進歩なのだ。
やはり、成長スピードがすごい…………

「あっオレもう帰らなきゃ!ありがとな、大河!!」

「おーぅ、また打とうな!」

進藤は慌ただしく家へと帰って行った。
たぶん、門限が危なかったのだろう…………

というか、オレ………
強くなりてーなぁ…………
佐為と互角に打てるぐらいに…………
こんな気持ちになんのいつぶりだろ………
佐為ぐらい強くなるためには、佐為以外の強い奴とも打たなきゃなんねぇ……
どうやったら打てるかな………
碁会場?
いや、本当に強い奴なんて限られている………
しかも、小学生のお小遣いじゃ、強い奴を見つける前に尽きてしまう………
他は……何か手があったっけ?

「ただいまー……大河、オレ、トイレ行くからパソコンの電源入れといて!オレ急いでんから!!」

どうやら、兄貴が帰って来たようだ。
たくっっ……人使いが荒えんだから………
オレはしぶしぶパソコンの電源を入れる。
うちのパソコン、立ち上がるのが遅いからな………

「おーサンキューサンキュー。まったく、危なかったぜ。約束の時間過ぎてしまうところだった。」

兄貴がやっとやって来た。
しかも、手にはお茶とお菓子………
人に任せておいて、それかよ………

「というか、約束って何なんだ?」

「あぁ、将棋を打つ約束さ。ネット将棋だよ、碁にもあんだろ?」

ネット碁!?
そうだ、その手があった!
ネット碁だったら金もかかんねぇし、いつまでだってやれるから、いつか絶対強い奴と打てる!!
最っ高の手じゃねーか!!

「兄貴っていつもどんくらいパソコン使う?」

「あ?オレはそんなに使わねーよ。たまに、将棋で使うぐれーだ。」

ナイスッッ兄貴!
オレが思いっきり使えるじゃん!!

「そーなんだ。んじゃ使い終わったらオレに声かけてよ。オレ、ネット碁やってみてぇし。」

「ふーん、分かった。というか、お前、最近よく碁を打つよな?どーいう心境の変化?」

そーいえば、そうだ。
オレは今世でそんなに碁に執着を見せていなかった。
碁を見るとあいつを思い出すから………
でも、今は………

「兄貴、知らなかったのかよ。オレ、碁が大好きなんだぜ!!」

この一言に尽きるな…………

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