あぁ、懐かしの友よ
□3 懐かしの「碁」3
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あれからオレは進藤に避けられている……同じクラスだから絶対に捕まえられるはずなのに、なぜかもう三日間も避けられているのだ。あいつはオレの気配でも読めるのか!?まさか本当に幽霊が取り憑いていて、進藤が逃げるのでも手伝っているのか??
「こうなったら、意地でも捕まえてやるぜ!!」
オレは固くそう誓った。
今日は金曜日。今日を逃したら来週まで話が聞けない。だからオレは今まで以上に進藤を捕まえようとしたが捕まらない…………ここは、方法を変えるべきだとオレは考えた。
オレは進藤の席からノートを一冊とっておいた。もちろん、誰にも見られないようにして。
今は帰りのHRが終わったところ。進藤は当たり前のごとく、ダッシュで教室から出ていった。
「なぁ、藤崎。お前進藤の家知ってるか?」
「え?知ってるわよ。でもそれがどうしたの??」
藤崎はオレの質問に不思議そうに答えた。
「あぁ、それは進藤のやつ、オレにノート貸したまま帰っちまったんだよ。今週の宿題に必要なのにさ。だから返しに行こーと思ってな。」
「それなら私がヒカルに届けとこうか?私、ヒカルの家のお隣さんなの。」
「いや、いいよ。オレが借りたんだし。この後もとくに用事もないしな。」
「そう?じゃぁ、ヒカルの家までの地図書くからちょっと待ってね!」
………………作戦成功……。進藤の家までの地図を手に入れたオレは、早速進藤の家に行くことにした。
「ここか、進藤の家は………」
ピーンポーン
呼び鈴の音が響く。するとすぐに進藤のお母さんと思われる人がインターフォンに出た。
「はい、進藤です。」
「あ、僕、ヒカル君のクラスメイトの加賀 大河です。ヒカル君に借りていたノートを返しに来ました。ヒカル君はいらっしゃいますか??」
オレは対大人用の猫をかぶって答えた。
「あら、わざわざごめんなさいね。でもヒカルまだ帰って来てないの。だから私が預かっときましょうか?」
あれ?進藤ってオレより先に学校出たよな?と思いつつ
「ありがとうございます。でも僕自身もヒカル君に用があるので、少し待っときます。」
と答えた。
「なら、部屋に上がって待っててくれる?たぶんすぐに帰って来ると思うから。」
「わかりました。」
進藤の部屋に入ると、碁盤どころか、囲碁関係の本なども見当たらなかった。あれ程の実力をこの短期間につけるにはそれ相応の努力が必要だろう。これでまた一つ不信な所を発見した。
待つこと15分ほど、下から「ただいま〜」という進藤の声が聞こえて来た。
「全くさ、大河のやつしつこいよなぁー。これも全部佐為のせいだからな!!」
進藤が独り言を言いながら階段を登ってくる。……てか、サイって誰だ?オレが色々考えているうちにガチャッと音をだしながらドアが開き進藤が部屋に入って来た。
「!!??なんでお前がここにいるんだよ!?大河!!」
「このノートを届けに。てか、お前“サイ”って誰だよ??」
そう言った瞬間、部屋はシーンと静かになった………。