機械オタク、魔法界に参上!

□13 ドラコの逆襲
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チュンチュンと鳥の囀りが聞こえてくる。

窓からは、暖かな陽射しが差し込み、真冬で寒いこの部屋を暖かく照らす。

俺は一人、誰にも邪魔されず、ふかふかなベットで惰眠を貪る………

あぁ、なんて素晴らしい朝なんだ!!

もー冬休みって最高!!

残りの冬休みの日もこうやってダラダラと過ごすんだ!!

よし!!もう一眠りしよう!

俺は布団をかぶり直し、目をつむる。

あーーー………夢の世界へと引きずられて行くーー

ドッカーンッッ

………………なんか、前にもこんなパターンがあったよな?

こういう時ってたいてい……

ダダダダダッッ

バーンッッ

俺の部屋のドアが勢い良く開かれる。

そして、光り輝くブロンドの髪とデコを持つ魔法界の貴公子………

「シモンーー!!今日は、君のドレスローブが届くから、僕の屋敷に、取りに来てくれと言っていたじゃないか!?」

ドラコが登場した………

「うるせーな。まだ、朝だろうが…」

「!?君の目は節穴かい!?もう夕方だぞ!もう夕日が沈みかけてるぞ!!」

窓の外を見ると、空が真っ赤に染まっている。

どうやら、先ほどの暖かな陽射しは、夕日のようだった。

「あれ?おかしーな……昨日そんなに遅く寝てねーのに……」

「君の遅くないは、当てにならない……どうせ、夜中の3時ぐらいだったのだろう?」

「いや、5時だな。朝の。」

俺がそう言うと、ドラコは、はぁーっと溜息をついた。

別にそんなにおかしくないだろ?

休みの日では、もっと遅く寝る日だってあるし。

機械をいじり出したら、数日間徹夜とかいう時もあるのだし……

まぁ、早くもないが………

「取り敢えず、君のドレスローブはここに置いとくからな。全く、自分で取りに行くからここに送らなくていいとか言っていたくせに………」

あれ?そんなこと言ったっけかな?

全く、覚えていない。

まぁ、仕方ないだろう。

行くつもりのないパーティーのドレスローブのことなんか、忘れちまっても。

「了解ーーー。」

俺はどうでも良さそうに返事を返す。

「パーティーは明日だからな。忘れないようにな!」

「へいへい。」

誰が行くっつーんだよ、そんな糞パーティー!

絶対に逃げてやる!!

「もちろん、逃げないようにな。」

ギックッッ

おい………こいつ、今俺の心読んだか?

「………君の考えていることは、分かる。だが、馬鹿なことは考えないようにな。君が脱走できないように、警備を厳重にしておいたから。」

「なっなんでだよ!!」

「………何年君の幼馴染をやっていると思ってる?君の行動パターンなんて読めるさ。」

…………なんか、今日のドラコいやに強いぞ?

それほどこのパーティーが重要ってことか?

めんどくせーな………

「ちっっ………あー分かったよ。もう用がすんだんならさっさと帰れよ。俺はまだ眠いんだ!」

「はぁー………全く君は。…………くれぐれも馬鹿なことは考えないようにな。」

そう言い残してドラコは自分の屋敷へと帰って行った。

「ふん!脱走が無理なら今日中にこの屋敷から抜け出しておいてやる!!マグル界のホテルにでも泊まれば追いかけてもこれねーだろ!!」

俺はいそいそと家出?の準備を開始する。

準備と言っても、マグル界のお金と替えの服とかぐらいだかな……

10分ぐらいで用意は終わった。

あとは箒を持って、外に出るだけだ。

俺は箒を物置から取り出すと窓を開け空に飛び出す。

よしっっ!!

このままひとっ走りでマグルの街まで行くぜ!!

俺は前かがみになり、スピードを上げた。

すると…………

バーンッッ

「へ!?」

何か壁のような物に当たった。

その衝撃で俺は地面へと落ちて行く………

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

地面にぶつかる!!

と思った瞬間、俺は宙で止まった。

…………結構地面スレスレだ……………

心臓に悪いな………

トンッ

俺は地面へと降りた。

周りを見渡すと僕妖精が何匹もいた………

しかも、俺の屋敷のではない………

俺の屋敷には最低限の僕妖精しかいない。

こんなに沢山の僕妖精は俺の屋敷にはいないはずだ。

「お前ら………誰の僕妖精だ?」

俺は苛立ちを隠せずに僕妖精達に言う。

「「「「「「申し訳ございません!シモン坊っちゃま!!しかし、これは命令なのです!ご主人様が、シモン坊っちゃまが屋敷を抜け出さないように監視しておけとの!!」」」」」」

…………嫌な予感がする…………

「………もしかして、そのご主人様ってのはマルフォイ家の者か?」

「「「「「「その通りでございます!!シモン坊っちゃまが抜け出せぬよう、このお屋敷の全ての出入口を封鎖させて頂きました!!」」」」」」

俺は愕然とした………

ここまでやるか、マルフォイ家!!

……………最悪だ…………

この屋敷の俺が知っている全ての出入口をドラコは知っている…………

つまり、俺はこの屋敷から一歩も出れないということだ………

「………なぁ、頼むよ。俺、パーティーなんて出たくないんだ。」

「「「「「「申し訳ございません!!命令ですので!!」」」」」」

…………ですよねーー。

あー………ほんっと最悪!!

ドラコの奴、普段の鬱憤を晴らそうとしてやがるな!!

「「「「「「シモン坊っちゃま、外はお寒いので中にお入り下さい!」」」」」」

俺は、僕妖精達にほぼ強制で屋敷内に戻される。

くそっっ………

どーすればいい?

俺は意地でもあんな糞パーティーになんか出席したくない。

こうなったら、マルフォイ家の奴らも知らない外への隠し通路を探してやる!!

こんな広い屋敷だ。

何個かはあるだろう………

問題は、今日中に見つかるかだ。

あー……双子とリーがいたらあっという間に見つかるだろーになぁ……

一人じゃ大変だ………

俺はこの広い屋敷のそれっぽい所を探して行く。

しかしやはり、なかなか見つからない……

そして、探し初めて3時間………

「あれ?ここの壁を叩いた時の音なんだか、違和感があるぞ………?」

俺はその壁周辺をくまなく探す。

すると、その壁の隣にあった本棚の裏にスイッチのような物を発見した。

「………なんか、ベタだが、押してみるか………」

ポチッ

……………ガガガガガッッ

「おおっ!隠し通路発見!!まぁ、外に繋がってるかは分からないが………取り敢えず、入ってみるか!!」

俺は、ルーモス!!

と唱えてから、薄暗い隠し通路を進んで行った。

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