機械オタク、魔法界に参上!

□8 トランシーバー
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外は日が登りだし、少しずつ明るくなっている。

キラキラとした朝日が光を注ぎ、澄んだ空気がこの清々しい朝を強調している。

しかし、その朝日が差し込まない地下の部屋……スリザリンの寮のある部屋はこんな清々しい朝だと言うのに、とても騒々しかった……

「おいっ!起きろ、ドラコ!!ついに……ついに完成したんだ!見ろよ、ドラコ!!」

「くぅー……すぅーー……」

ピキッッ

ドッカーン!!

「!?いったい何をするんだ!!痛いじゃないかっっ というか、いきなり殴るな!」

「はっっ……俺が優しく起こしているうちに起きないお前が悪い!!せっかく俺がこの完成品を見せてやろうとしているというのに………何故起きないんだ!?」

「そんな、理不尽な…………」

ドラコは青白い顔を頬だけ真っ赤に腫らし、ありえない者を見るような目で俺を見てくる。

まぁ、頬が真っ赤なのは俺が殴ったせいだが……

ドラコはしばらく俺のことをジト目で見たあと、溜息を一つついた。

「それで、僕をこんな時間に叩き起こした理由とは?」

「ジャッジャジャーン!これだぜ!!小型トランシーバー!!驚いたか、ドラコ!?」

俺は、ポケットに隠しておいた小型トランシーバーを取り出してドラコに見せる。

この美しいフォルム、この滑らかなボディー、そしてこの機能性!!

あぁ、俺はなんて凄い物を開発してしまったのだろう……

「…………“こがたとらんしーばー”とはなんだ?どう見ても僕にはネクタイピンにしか見えないのだが……」

「!?トランシーバーを知らないだって?……ありえない……一般人じゃない……俺は認めん……いいか!良く聞け!!この俺が説明してやる!トランシーバーとはな、無線電波によって、離れている人とも会話をすることができるようになる機械のことさ!!ネクタイピン型の物だから、ネクタイピンに見えて当たり前だ!!これは、特別にお前にあげよう!ドラコにはこの一週間たくさん働いてもらったからな………」

俺は手に持っていた小型トランシーバーをドラコの手の上に置く。

ドラコにもトランシーバーをあげることにした理由は御礼だけではなく、その方が何かと好都合になることが多いことがもう一つの理由だ。

例えば、パシリとかに………

…………ん?何か御礼よりもこっちの理由の方が大きいかも……?

「………機械だと?それは確か、君がいつもいつも言っているマグルの製品のことだよな………?こんなのはいらないぞ!!」

ドラコは大きな声で叫び、俺がせっかくあげたトランシーバーを壁に投げつけた。

バギッッ

「おいっっ!テメェ、なめてんのか!?この俺様が一週間もかけて作ったトランシーバーをなに壊してんだ?どーしてくれるんだよ、あぁん?」

俺が普段怒った時の数倍の眼力で睨むと、ドラコの顔色は青白いを通りこして紫色になった。

俺は少しずつドラコに迫って行く。

ついに、壁まで追い込むと、ドラコは土下座をしそうな勢いで謝りだした。

「すまない、シモン!マグルの製品だと知ってつい反射的に投げてしまった……何でもする!!頼むから許してくれっっ!」

俺はニッコリと笑う。

ドラコは、俺の笑みを見て、警戒を緩めた。

その時………

「んじゃ、このトランシーバーを毎日ネクタイに着けろよ?そんで、俺がこのトランシーバーで連絡した時は、どんな状況でも出ること。簡単だろ?やるよな?」

俺はポケットから新しいトランシーバーを取り出してドラコに渡す。

「まっ待ってくれ!純血の僕がこんなマグルの製品を使うわけにはいかないだろう!!」

「………お前、何でもするって言ったよな?」

俺はまたニッコリと笑ながら言う。

ドラコは、悔しそうな顔をしながらしぶしぶトランシーバーを受け取った。

「それじゃ、俺はもう一眠りするわ。おやすみー。」

「……………………おやすみ。」











次に目を覚ますともう夕方だった。

俺は、寮から出てグリフィンドールの寮へと向かった。

双子達にこの小型トランシーバーを渡すためである。

グリフィンドール寮はやっぱりアウェイな雰囲気が漂っている。

早く出てこいよ、双子達………

そうは思っても中々出てこない。

まぁ、突然の訪問だから仕方が無い。

しばらく待っていると、やっと双子達が出てきた。

「おーい!フレッド!ジョージ!リー!」

「おっ!シモンだ!お前また授業サボってるんだって?」

「噂だと、スネイプの奴、カンカンに怒ってるらしーぜ!」

「というか、この一週間は何してたんだ?」

俺はポケットからトランシーバーを三つ出して三人に見せた。

三人は、これが何かわからないようで、頭の上にはてなマークをだしている。

「ふっふっふっ!聞いて驚け!!これは、小型トランシーバー!俺は一週間ずっとこれを作ってたんだ!!」

最初は三人共トランシーバーが何かわからないようだったが、ジョージが気づいたようだ。

「あっ俺トランシーバーって知ってる!パパが言ってたよ。確か、遠くでも会話ができるようになる機械だよな?」

「ピーんポーン!正解!!範囲はホグワーツの中。その中ならいつでも自由に会話ができる!」

「「「おぉっっ!!すっげぇぇーー!!」」」

そうそう、これだ。

俺が求めていたリアクションは。

全く、ドラコは頭でっかちだからなー……。

「これがあったら、他寮の俺でも連絡がとりやすいだろ?」

「確かに!ナイスたぜ、シモン!!」

「しかも、これがあれば悪戯での連繋も取りやすくなる!!よしっっ早速このトランシーバーを活用した悪戯を考えますか!!」

それから俺たちは材料の部屋に移動して話し合った。

「その案採用!!さっすが我らが参謀殿!」

「そんで、それはいつするんだ?いつもの数倍手間がかかるけど……」

「ハロウィンなんてどうだい!あと一ヶ月くらいだろう!!」

「「よし!そうしよう!!」」

俺はふと、ハロウィンという言葉に引っかかった。

何か、重大なことを忘れているような………

「参謀殿、どーしたんだ?ハロウィンじゃ何か不都合なことでもあるか?」

「あっいや、べつに。」

俺はそのつっかかりを無視して答えた。

まぁ、忘れる程度のことだから大丈夫だろう……

「それじゃ、ハロウィンに決定!!取り敢えず、今日はここまでな。夕食の時間が終わっちまう!急いで大広間に行くぞ!!」

「「「おぅ!!」」」

俺たちは、大広間へと急いで向かった。

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