機械オタク、魔法界に参上!

□5 愉快な魔法薬学
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宴が終わり就寝時間になると各寮の監督生がそれぞれの寮へと引率していく。

スリザリン寮は地下にあった。

部屋割りを見ると、運良く一人部屋!……なんてことはなく、ドラコと二人部屋だった。

まぁ、それでも運が良い方だろう。

俺は自分の部屋に着くと、早速買ったゲームを取り出した。

いそいそとそれらを整理していると、ドラコが うげぇー というような表情でこっちを見ている。

ついでに、ゲームは俺の鞄の1/4を占めている。

残りの3/4は衣類、教科書、機械の工具などだ。

「シモン、先に言っておくが、そんなマグル共が作った物を外で使うなよ。」

「はっっ?何言ってんの、ドラコ。コレは携帯用のゲームで、何処にでも持っていけることが特徴なんだよ。それなのに、その特徴を生かさなくてどうするのさ。」

「僕たちが尊敬するサラザール スリザリンの子孫がそんな物を使っているなんて知られたらどうするんだ!?君は偉大な血を引く人間なんだぞ!好い加減理解してくれ!!」

ドラコは普段とても青白い顔を真っ赤にしながら叫ぶ。

「そんなの俺に関係ないじゃん。俺は偉大な血より機械の方が何百倍も大事なの!!」

「あぁ、そんなのとっくの昔に理解している。だが、僕たちには大事なことなんだ!頼む。この部屋ではいくらでもやっていいから……」

ドラコのあまりの必死さにびっくりだ。

純血主義ってこんなに大事なことなのか?

俺には理解できん。

いつもの数倍口煩いドラコについに負け、俺はしぶしぶ了承した。

「分かってくれたのか、シモン!!」

「あぁ、分かった分かった。でもこの部屋ではいくらでもやっていいんだよな?」

「もちろんさ。君が外でそれを使わないなら。」

俺はドラコのその言葉についニヤリとしてしまう。

「んじゃ俺、今から数日間ここに籠ってずっとゲームする!授業にも出ずに!あぁ、なんて素晴らしいんだ!機械にずっと触れられる毎日!!先生に宜しく伝えておいてくれ!」

ドラコはポカンとしている。

俺はそんなドラコをよそにゲームを始めようとした。

「ちょっと待て!そんなの許されるわけがないだろ!僕たち今日入学したんだぞ!何早速サボろうとしているんだ!!というか、食事だってどうする!?」

ドラコがキーキー叫ぶ。

はっきり言って、近所迷惑だ。

「煩いなー。お前が良いって言ったんだろ。授業はあれだ、病欠とでもしておいてくれ。俺、実は病弱だし。このままだと週に一日くらいしか学校行けないみたいな設定にしてくれると嬉しい!食事はお前が運べばいいだろ。」

「君が病弱なんて聞いたことないぞ!!というか、そんな設定はあり得ないだろ!そこまで酷いなら入院しろってことになるだろ!食事を運べって?なんで僕が!?僕は君のパシリじゃないぞ!!」

全く……

俺が神聖なるゲームを始めようとしているのに……

煩すぎる。

「……俺が外でゲームしていいのか?」

「ダメに決まっているだろう!!」

「んじゃ、言われた通りにしろよ。これ以上煩くしたら、今すぐ談話室でゲームすんぞ。」

ドラコは嫌そうな顔をしながら黙った。

はぁ。やっとゲームができる。

俺はゲームの世界へと入って行った。












この数日、ドラコは言われた通りにしている。

俺は楽してゲームができ大満足だ。

ゲームを一日中やり続けられる毎日。

あぁ、なんて素晴らしい日々なんだ!!

そんなことを考えていると、ドラコが慌てて部屋に入ってきた。

「シモン!!頼むから次の授業にもは出てくれ!寮監のスネイプ教授の授業なんだ!出ないと大変なことになるぞ!」

ふーむ……確かに。

寮監と揉めるのは面倒なことになりそうだ。

しかも、陰険そうだしな。

まぁ、十分ゲームも堪能したし、初授業行きますか!

「あぁ、わかった。今準備するよ。」

ドラコはあからさまにホッとした表情を浮かべた。

準備を終え、魔法薬学の教室に行く。

中に入ると、ハリーたちを見かけた。

あれ?これって、原作じゃん。

俺は今更思い出した。

俺はドラコとスリザリン生が集まっている席に座る。

すると、他のスリザリン生たちから

「大丈夫?病気なんだって?」

など心配の言葉を貰った。

そーいえば俺、仮病使ってたわ。

俺はすぐに思い出し、それらしい対応をとる。

ドラコからジト目で見られた。

しばらくすると、スネイプが教室に入ってき、出席を取り始める。

まずは、スリザリン生からだ。

俺は出席を取られたあと急に眠気に襲われた。

あー……そーいえばここ数日徹夜でゲームしてたや………

俺はあまりの眠気に逆らうことを諦め、夢の世界に旅立つことにした。







「モンッッ!シモン!!起きろっっ!」

「…う………んー…」

ドラコの声により現実に戻された俺は、まだボーッとしている頭を上げ周りを見渡す。

教室にいる全員が俺のことをガン見している。

スネイプは額に青筋を浮かべ、ハリーは立たされている。

あー…原作のあの場面かぁー

意外と長く寝てなかったなぁ。

俺がそんな場違いなことを考えていると、スネイプが俺に話しかけてきた。

「…君は、今まで具合が悪く、ずっと部屋で寝ていたのではないのかね?……どうして今寝ている?まぁ、話はあとで詳しく聞こう。ポッターも座れ。今からおできを治す薬を調合する。二人一組になって始めろ!」

グリフィンドール生は、寝ていたのに減点されないことに不満を感じているようだ。

まぁ、仕方ないだろう……

しかし、これで絶対俺のグリフィンドールでの評価が下がった!

くそっ……スネイプめっっ

俺のマグルと仲良くなる計画を邪魔しやがって!!

俺は寝ていた自分が一番悪いのに、全てスネイプのせいにして片付けた。

おできを治す薬はドラコと調合した。

……正確には、ドラコに押し付けた。

まぁ、ドラコも嬉しいだろう!

スネイプに褒められる機会が増えるのだから!!

そんなことを考えていると、向こうから

「バカ者!」

という叫び声が聞こえてきた。

どうやら、ネビルが調合に失敗したらしい。

あったなー……こんなシーン。

それから、ネビルは医務室に送られ、ハリーは理不尽な減点をされ、俺の初授業は終わった。

さぁ帰ろう!

とすると、スネイプに呼び止められた……

「さて、君は、どうしてさっき寝ていたのか教えて貰おうか。」

「あー……それはですね、あれは寝ていたのではなく、具合が悪くなり、少し伏せていただけですよ。」

「ほーぅ。あれが寝ていたわけではないと?しかも、全く具合が悪そうには見えないが?」

「はい!!今はもうすっかり良くなりましたから!!!」

俺は、いつもの数倍キラキラさせた笑顔を浮かべた。

スネイプは、信じてはいないだろうが、これ以上このやりとりを続けても無意味だと感じたのか、俺を解放してくれた。

帰り際に

「次はないぞ。」

としかめ面で言われたが。

俺は華麗にスルーし、自室でまたゲームに励むことにした。

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