機械オタク、魔法界に参上!
□4 ホグワーツ入学
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新入生たちは皆、ハグリットに続いて険しくて狭い小道を歩いて行く。
もちろん俺も新入生なので、その中の1人だ。
しばらく歩いていくと、前の方が騒がしくなった。
俺たち、最後尾も続いて騒がしくなる。
………ホグワーツだ……
確かに、キラキラしていて、とても幻想的だ。
しかし俺には、あの沢山の技術が集まってできた機械の方が美しく見える。
そんなことを思っていると、皆が続々とボートに乗りだした。
俺は、少し出遅れたせいで、ドラコとその手下たちと同じボートになってしまった。
………これ、沈むんじゃないか?…いや、ハグリットが乗っているボートも沈んでいないのだからたぶん大丈夫だろう。………たぶん…
「シモン、さっさと乗れよ。君のせいで遅れたらどうするんだ?」
どうやら、ドラコはこのボートが沈むかもしれないという可能性に気づいていないようだ。
「あ…あぁ、すまん。今乗るよ。」
俺は、覚悟を決めてボートに乗り込んだ。
周りのボートと見比べると、若干俺たちのボートは沈んでいるような気がする…
俺は、気のせいだとして片付けた。
「みんな乗ったか?」
ハグリットが全員乗ったか確認する。
「よーし、では、進めえ!」
ハグリットがそう叫ぶとボート船団は一斉に動き出した。
………なんとか、沈まずにホグワーツに着くことができた………
俺は、深く神に感謝した。
ハグリットが城の扉を3回叩くと、扉が開いた。
中にはマクゴナガル先生と思われる女性がいた。
玄関ホールは、さすがホグワーツ。
とても広い。
「ホグワーツ入学おめでとう。」
マクゴナガルはそう言ったあと、組分けについて説明しだした。
俺は、内容を知っているので、半分以上聞き流した。
マクゴナガルが部屋を出て行ったあと、新入生たちは不安をあらわにした。
というか、俺はどうしようかな、寮……
スリザリン以外なら何処でも良いって思ってきたけど、やっぱり明確に何処の寮が良いっていうのを決めていた方がその寮になりやすい気もする。
つまり、スリザリン寮になりにくくなるかもしれないという事だ。
やっぱり、グリフィンドールかなー……
あの双子とリーとは仲良くなれた気もするし。
あっでも、深く原作に関わりすぎるのはめんどいかも……
んじゃ、レイブンクローか?
いや、俺あんまり魔法関係の勉強は好きじゃないしな。
よしっ!ハッフルパフだな!!
原作でたしかマグル生まれの子がいたし。
決定決定!!
俺の考えがまとまると、ちょうど良く、マクゴナガルが新入生を呼びにきた。
「さあ、一列になって。ついてきてください。」
マクゴナガルの言葉に従い、皆、大広間に入って行く。
全員が中に入ると、マクゴナガルが組分け帽子を用意した。
組分け帽子は想像以上にボロかった…
組分け帽子に全員の視線が集まると、組分け帽子は歌いだした。
私はきれいじゃないけれど
人は見かけによらぬもの
私をしのぐ賢い帽子
あるなら私は身を引こう
山高帽子は真っ黒だ
シルクハットはすらりと高い
私はホグワーツ組分け帽子
私は彼らの上をいく
君の頭に隠れたものを
組分け帽子はお見通し
かぶれば君に教えよう
君が行くべき寮の名を
〜〜〜〜〜
俺は組分け帽子の歌を聞きながら思った。
俺はハッフルパフにピッタリだと!
俺は自分の心には正しく忠実で、自分の生きがいのための苦労なら苦労と思わないからだ。
組分け帽子が歌い終わると、広間にいた全員が拍手喝采をした。
その後、マクゴナガルがABC順に組分けされる子の名前を呼んでいった。
俺は“S”なので結構うしろのほうだ。
原作キャラの組分けは、原作通りだった。
ドラコの組分けの早さには笑ってしまった。
そして、いよいよ俺の番………
「スリザリン・M・シモン!」
俺の名前にハリーの組分けの時並みに囁き声が広がる。
大方、俺の家名に驚いているんだろう。
俺は、マルフォイ家が俺のマグル好きがばれないように、社交界などに出さなかったため、俺がスリザリン家の末裔ってことをドラコたち以外に知られていなかったのだ。
まぁ、社交界に出るより、家で機械をいじっている方が何百倍も楽しいから助かったけどな。
組分け帽子をかぶった瞬間俺は
(ハッフルパフ!ハッフルパフ!)
と心の中で叫んだ。
(いや、君はどう考えてもスリザリンだろう……家柄はもちろん、君の本質なんて、スリザリン生そのものだ。)
(!?……何を言っているんだ!!俺ほど自分の心に正しく忠実で、自分の生きがいのための苦労なら苦労と思わない奴なんていないだろう!俺はハッフルパフにふさわしい!!)
(いやいや、それは正しく忠実で苦労を苦労と思わないというより、自己中心的なだけで、君は全くハッフルパフに向いておらん。)
(ちっ……じゃあ、グリフィンドールで!!)
(……君は、勇猛果敢な騎士道とは無縁の人間であろう……)
(レイブンクローはっっ!?俺、興味があるものについての意欲は人一倍あるし!!)
(ふーむ……たしかに。しかし君に向いているのは…)
「スリッッ
(まてまてまてーっっ!くそっ……どうすればスリザリン寮以外の寮になれる?こうなったら インペリ……いかんいかん、アズカバンに行ったら機械に触れなくなる……ならば、組分け帽子!燃やされたくな…)
…スリザリン!!」
バシッッ
俺はそう叫ばれた瞬間、つい組分け帽子を床に叩きつけてしまった。
「何をしてるのですか!?Mr.スリザリン!さっさと席に座りなさい!!」
周りを見渡すと俺がなぜ、組分け帽子を床に叩きつけたのか分からないという表情をほとんどの人が浮かべていた。
まあ、ファミリーネーム的にスリザリン寮になるのが当たり前と思われていたのだろう。
例外は、ドラコと双子とリーだけだ。
ドラコは やっぱりな という表情で、双子とリーは笑いを堪えています!というような表情だ。
とりあえず、俺はしぶしぶスリザリン寮の席に着いた。
くそっっ!計画が狂ってしまった……
どうやったら、スリザリン寮の生徒でスリザリン家の末裔として広まった俺がマグル生まれたちと仲良くなれる?
このままでは無理だろう……
スリザリン家の名前により、マグル生まれ…というより、スリザリン生以外は俺のことを敬遠しだすだろう。
………仕方ない…計画の練り直しだ………
俺は、残りの組分けとダンブルドアの話の間ずっと新たな計画を立てていた。