機械オタク、魔法界に参上!
□1 カミングアウト
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「あぁ、なんて素晴らしい技術力なんだ……この美しいフォルム、この眩い輝き、この滑らかな手触り………マグルはなんて素晴らしいんだ!俺、魔法族やめてマグル界に移ろうかな?その方が良いよね!絶対にその方が良いよね!!なぁ、ドラコ!!」
「だから、その考えをいいかげん改めろよ!!そんなガラクタの何処が良いんだよ!しかも穢れた血の世界に行きたいだって?君、頭がおかしいんじゃないのか?」
将来絶対に剥げそうな髪型の従兄弟、ドラコ マルフォイはありえない物を見るような目で俺を見てくる。
実際に純血主義の家に生まれ、その考えを教えられ続けたら、こうなるのも仕方ないだろう。
しかし、俺は違う。
いつの頃からだろうか、俺に前世の記憶が蘇り出したのは……
確か、4歳くらいだっただろうか?
初めて家を一人で抜け出し、マグルの世界で迷子になったのだ。
その時に俺は今世で初めて電気で動く機械を見たんだ。
その瞬間かな?俺に記憶が蘇ったのは……
それから俺のマグル好きが始まったんだ。
ドラコはまだぐちぐち言っている。
長い付き合いなのだから、俺のマグル好きが今更改められるはずがないことぐらい分かっているだろうに…
「そーいえば明日だよな。ダイアゴン横丁にホグワーツに入学するのに必要な物買いに行くの。いよいよ俺たちも入学かぁー……どの寮になるかな?」
「君はバカか……僕たちがスリザリンじゃなくてどうするんだよ。特に君はスリザリン家の末裔なのだから。」
ドラコは呆れながら言った。
「ふっっ……そこで期待に答えず他寮に入るのが俺さ!!どんな手を使ってもマグル生まれがいる寮に入ってやる!!」
「そんなことを言っている時点で君はスリザリンさ……はぁ、なんでこんな奴が我らが崇拝するサラザール スリザリンの子孫なんだろう………」
ドラコは若干涙ぐみながら呟く。
もちろん俺はスルーだ。
「頼むから……本当に頼むから、スリザリン家にふさわしい振る舞いをしてくれ……僕が君の尻拭いをしなくちゃいけなくなるだろう…」
「あーわかったわかった。んじゃ俺マグルの街に行くからルシウスさんに伝えといて。」
「はっっ!?」
俺は部屋の壁に立てかけていた箒を掴み窓の外へジャンプした。
「じゃ、また明日な、ドラコ。ばーい!!」
「まて!!シモン!!!マグルの街なんかに行くなっっ!」
俺は叫ぶドラコの声をBGMに優雅に空を飛んで行った。
しばらく空を飛んでいると、マグルの街が見えて来た。
俺はマグルたちに見られないように森の中で箒から降りた。
中々発達した街で、中心街はとても栄えていた。
俺は目的の電気屋に行く。
そこで俺はゲームコーナーに向かった。
そう。今日の俺の目的はこれだ。
俺は機械を魔法界でも使えるように、独自で魔法を開発した。
その結果、今のところ、電気さえあれば動く機械を魔法界でもつかえるようになったのだ。
最終的な目標は、マグル界なみに機械を使えるようにすることである。
今日ゲームを買う理由は、携帯できるタイプのゲームならばホグワーツでも使えるからだ。
俺の屋敷には今ではたくさんの機械がある。
しかし、ホグワーツに持って行ける物は限られている。
俺は機械がないと生きていけないと自負している。
だから、持って行ける機械を増やしに来たのだ。
しかもゲームならば、暇な時間を有効的に使えるしな。
俺はとりあえず、新作コーナーにある全てのゲームを買った。
早くプレイしてみたいが、ホグワーツに入学するまで我慢だ。
「あー…早く入学してーなぁ………」
俺は行きと同じように、マグルに見られないような場所で箒に乗り屋敷へと帰って行った。