黒子

□ひととき
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「テツヤ…ッぁ」
「ッ、…赤司、く…」

まるで麻薬だ。

「ぁ…ふ、ぅ…」
「…んぅ…ッ」

テツヤのその声が、僕に触れてくるその手が、肌から伝わるその熱が、重なるその唇が、絡まるその舌が、麻薬のように病み付きにさせる。

「ッ…テツヤ…ンぁ、手、止まって…るっ…」
「はぁ、ん…そういう赤司君、も…ッ…止まって、ますよ…ァ」

テツヤのを扱き、僕のはテツヤに扱かれ、それによって部屋に響く卑猥な音が僕の思考を鈍らせる。
どちらのとも区別のつかない白濁した液が絡み合ってよりヤらしい音を出し、熱の篭ったテツヤの吐息に興奮する。

「ン…ッ」
「…はぁ…ん…」

僕が感じるようにテツヤもまた感じている。それが嬉しくて胸が高鳴る。
僕だけじゃない。ちゃんとテツヤも気持ち良くなっている。
その証拠にテツヤの自身もまた主張するように勃って、とめどなく先走りの蜜をヤらしく零してる。

「ッ…ぁ、テツ、ヤ…そこ…」
「あんッ…ココ、ですか…?」

先端を弄られ、ビクビクと痙攣する中、同じようにテツヤの自身の先端を弄れば、テツヤもビクビクと奮える。

「ひ、ぅ…ぁ…あぁッ」
「…ん、んぅ…んあぁッ」
集中したかのような錯覚に陥ったかと思えばほぼ同時に絶頂を迎え、少し濃いめの白濁液を吐き出し互いを汚した。

「…妖艶すぎです。赤司君」
「それはテツヤもだ」

熱で赤く染まった身体、蕩けたような瞳、欲を吐き出した事による浅い呼吸も、舌で指についた白濁液を舐め取る仕種も、ほんの些細な仕種だろうが、僕の瞳はテツヤを妖艶に映し出す。

「…テツヤ」

僕はテツヤを抱きしめた。

「赤司君…?」

この一時が過ぎれば僕はまた京都に戻らなければならない。
他ならぬ僕自身が洛山を選んだからだ。そのことに対しての不満はない。
けれど次にテツヤと逢えるのはいつだろうかと考えると少し寂しく思う。

「どうかしましたか?」

今、この時だけは、僕とテツヤは二人きり。ずっとこのままでいたい…。なんてらしくもない事を思ってしまう。

「…なんでもない」

抱きしめる腕に力を込めると、テツヤは僕の頭を撫でる。
それがあまりに心地好くて泣きたくなった。




fin.
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