黒子

□帰り道
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日も暮れはじめた頃、ようやく誠凛バスケ部の練習も終わり各々片付けを済ませ体育館を後にする。
その中の一人、小金井慎二は水戸部凛之助と共に下校中だ。

「ふあ〜…、今日も疲れたー。」

大きく欠伸をする小金井に無口な水戸部は静かに微笑む。

「あ!なあなあ水戸部!ちょっとコンビニ寄ってこうぜ」

小金井の提案に水戸部は少しだけ考える。
弟達の夕飯の支度をするにはまだ余裕がある…。少しくらいコンビニに寄り道をしても問題ないだろう。水戸部はそう判断すると小金井に向かって言葉にする変わりに縦に頷いた。

「マジ!コンビニ寄っていいの!?ありがとな水戸部!」

こうして二人はコンビニに立ち寄る事にした。















「どーれーがーいーいーかーなー…」

冷房の効いた快適空間の中、どのアイスにしようか迷う小金井の隣で水戸部もまた、どのアイスにしようか悩んでいる。

「クールッシュにヒノ、ポピコもいいし、ビッグも捨て難いし…うー、沢山あって悩むよなー…なあなあ、水戸部は何にすんの?」

一人では中々決められず、水戸部のを参考にしようと問い掛ける。水戸部は一通り眺めると一つ取り出した。

「………!」
「それ、当たり付きのアイスじゃん!へえ、ソーダにするのかー、よーし!なら俺はそれのコーラにしよーっと」

お互いアイスが決まるとレジへ向かう。
先に会計を済ませた水戸部は外で待つ事にし、少し遅れて小金井がコンビニから出て来た。

「はい水戸部。コレ、お前んとこの弟達に」

差し出された袋の中にはゼリーが入っていた。

「ちょっととはいえ水戸部の弟達待たす事になっちまったからさ、それに俺達だけ美味いもの食うのもなんだし…よかったらそれ、弟達にやってよ」

待たせた。と、言ってもほんの数分。別に気にする事なんてないのにと感じもしたが、それ以上に水戸部は小金井の優しさに嬉しく思った。

「ん?何々…『ありがとう。』いいって礼なんて。ほら、あんまり待たせるのも悪いしアイス食べながら帰ろーぜ」

そう言ってコーラ味のアイスを食べる小金井。
水戸部も小金井の隣に並んでソーダ味のアイスを食べる。

「あ……当たりだ!見て見て水戸部!当たり!当たりだぞ!」

当たりと書かれた棒を見せ、嬉しそうに言う小金井に水戸部は静かに微笑む。

「なあ水戸部ー、当たったから明日またコンビニ寄ってもいい?」
水戸部は小金井にだけ聞こえるその声で返事をすると、小金井は嬉しそうに笑った。


夕日によって映し出される影二つ。
その影達もどこか楽しそうにして二つ並んで映っていた…。





fin.
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