庭球

□叶ったもの
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憧れが恋心に変わるのはそう時間を必要としなかった。

初めてこの人を目にした時の事は今でもはっきりと覚えている。
鳳と帰宅をしている時だった。
当時中等部だった女達が「跡部様が」と騒いで何処かへ向かう。その日はそろばんの日だったが、俺と鳳は女達の言っていた"跡部様"というのが気になり騒ぎの方へと向かったんだ。
そしてその時に俺はテニスとこの人の美しさに魅入った。



「俺様とヤッてるってのに考え事とは随分と余裕じゃねーの」
「ッ…ふあ!」

グッとイイところを突かれて身体が仰け反る。

「何、考えてたんだ?」
「ぁ…ん、貴方の…ッ…事ですよっ…んぅ」

そう答えると顎を掴まれキスをされる。
熱を持った舌が口内に入り込み、蕩けてしまいそうに思う。

「ん…ッ…はん…」
「ッ……」

余裕のない瞳をして俺を求める様子がたまらない。
俺が、この人をこんな風にしているんだ。

「若……」
「ッあ、あん…跡部さ…」

ギラギラとした瞳を向けながら、直ぐに達しないよう堪える跡部さん。
額を伝う汗がこの人の色気を煽る。

「…あ…っふ…んあぁ」

律動が早まり、ベッドのスプリング音や卑猥な水音に肌がぶつかり合う音、そして俺の喘ぎ声がそれに合わせて大きくなる。

「ハッ…腰、揺れてんぞ」
「あ…いわな…っあん」

めいいっぱいの快楽を得ろうとして勝手に腰が揺れる。
余裕なんてある訳がないのだ。
憧れていた。叶わないと、高みの華でしかない。そう思っていたこの人が俺を求めてくれる。

「あ、あぁ…イく…ッん…ああ!」

イイところを突かれると、欲望を盛大に吐き出すと跡部さんは優しく微笑み、撫でてきた。
嗚呼、これが夢ならずっとこのまま眠りについていたいとすら思う。

「若、愛してる」
「んぅ…」

けれどこの、触れる唇の感触が、伝わる体温が、これは夢じゃないと教えてくれる。

「俺もです…跡部さん」

尊敬してます。
憧れています。
そして

愛しています..



fin.

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