庭球

□ゲームだった筈なのに
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これはゲーム


賭けるモノは己


堕ちた方の負けなんだ…






「え?お前ら付き合ってんじゃねーのかよ!?」
「アーン?そんな訳ねーだろ」

部活が終わり、ベンチに座っていると宍戸に俺様と忍足は実は付き合っているのではないのかと聞かれ、違うと答えたら驚かられた。

「な、なら…なんでセックスなんか……」
「俺様達の関係はセフレだ。そこに愛情なんてもんは存在しねえ。」

そうだ。俺達に愛なんてものは…
自分の言った事に胸がチクリと痛んだ気がしたが、忍足が視界に入り、俺は胸の痛みに気付かないフリをする。

「でもよ…」
「お前や鳳とは違うんだよ」

この話はこれで終わりとでも言うように俺は立ち上がり、更衣室へと向かおうとする。

「ホンマ、その通りやね」
「…何がだ」
「愛なんてなくてもお互い気持ちよぉなれるわ、女みたいに孕んだりせーへんから気遣う必要もあらへんもんな。」
「……」
「お互い利用しあう仲や」
「…何が言いてえ」

俺は忍足を睨むが。忍足は怯む事なく冷めた視線を向けてくる。

「ムカつくわ」
「ッい…!」
「ちょぉ、付き合えや」

腕を強く捕まれると、グイッと引き摺られるようにしてその場を後にした。

「っ放せよ!!」

連れて来られたのは体育館裏。いつも人影は少ないがこの時間だと全くと言っていいほどない。

「ホンマ、腹立つわお前」
「ッ…!」

壁に抑えつけられ、背中が痛む。

「…何しやがる」
「少し黙れや」
「ッ…ンン……」

壁に抑えつけられて、無理矢理キスをされ口を塞がれて、忍足の行動の意味がわからない。俺は息苦しさから逃れる為忍足の唇を噛んだ。

「ッ……!」
「はっ、ザマあねえな」

ようやく呼吸をすることができ、俺は息を整えながら忍足を睨む。

「…しまいやな」
「は…?何がだよ」
「よぉわからせたる」
「だから何……ッ!」

再びキスをされ、今度はジャージの中に忍足の手が滑り込んで来て身体が強張る。

「なんや、さっきみたいに抵抗せーへんの?」
「ッ…くそっ…」

忍足の奴がなんでこんな事するのか意味がわからない。
そしてその事で一々傷付いたように胸元が痛むのも。

「や、だ…放せ…」
「嫌や」
「ひぅっ…おした、り…」

忍足の手がいやらしく撫で回す度に背筋がゾクゾクとする。
こんなので感じたくないのに身体は心と相反する。

「ンッ…やだ…ッ…忍足っ…やめ!」

「気持ちエエんやろ?ココこないなっとるもんなあ」
「ひうッ!」

手が下へと伸び、下着の中に入り込むと自身をぎゅっと握り締められた。

「嫌言うとるくせにしっかり感じとるやん自分」
「ふぅ…ン…ぁ…」

もう訳がわからない。無理矢理襲い掛かって来た忍足も、一々傷付いている俺自身も。頭の中はぐちゃぐちゃだ。なんで俺様がこんな目に合わないといけないんだよ…

「…跡部……泣いてるん…?」
「……泣いて、ねえよ…っ!」
「嘘や」
「嘘じゃねえ!」

自分が泣いているなんて認めたくなくて、意地を張って忍足の事を睨む。

「……ごめんな」

いつの間にか忍足は俺を犯すのをやめていて、今にも泣きそうな顔をして俺を見ていた。

「ごめんな景吾…俺、もう無理や」
「…何がだよ」
「セフレの関係は終いや。せやないと俺…今みたいに跡部の事傷付けてまう…」
「…なんで、だよ」

俺をセフレに誘ったのはお前だろう?

「これはゲーム。賭けるモノは自分自身。堕ちた方の負けなんだと…そう言って誘って来たのはお前だろ」
「せやね。やから…俺の負けや。最初からこの遊びは俺の負けやってん」
「…どういう意味だ」
「景吾…俺、お前が好きや。めっちゃ好きやねん!最初は身体だけでもエエと思っとった…けどダメやった……すまん…」

なあ、それって…

「俺様が、お前の事好きだってんなら問題ねえよな…?」

俺は強引に忍足を引き寄せキスをする。

「ッ…ふ……」
「好きだ。侑士」
「それ、ホンマなん?後悔せえへん?」
「誰が後悔なんかするかよ」

好きだから、一々気になったり、ちょっとした事で傷付いたりするんだ。

「…ほな、続き、してええの」
「一々聞くな」
「景吾、好きや」

俺も好きだ




「ひぅ…ン…ッあ」
「ッ景吾……」

肌と肌が重なり合う。
もう何度もやってきた事の筈なのに、気持ちが通じるだけでこうも違うものなのだろうか…。

「あ、あッ…侑士ぃ…イ、くぅ……!」
「イッてエエよ…景吾ッ」
「んああぁッ!!」




始まりはゲーム


賭けたモノは己


勝敗は引き分け



fin.

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